文部科学委員会 令和4年3月23日

岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 本日は、博物館法の一部を改正する法律案の質疑、お時間を頂戴しまして、ありがとうございます。

 さて、本日は、多くの質問がこの博物館法に寄せられまして、他党からも出ております。日本維新の会からも質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 この博物館法は、昭和二十六年に制定されました。制定された当時の博物館数は全国に二百館余りにすぎなかったと聞いております。まだまだ今から思えば大変少なかったわけですね。

 まず冒頭に、この博物館法とは、そして制定された意義について伺いたいと思います。

 というのも、この博物館というのを始めとして、含まれるものは、動物園から植物園、美術館、水族館、資料館に至るまで、いわゆる社会教育の施設として大切でございますが、私どもなかなか、この博物館法、耳にしたことも今までなく、そして多くの方に知られていないのが現実でございます。まずは、その法律案ということで、博物館法とは何なのか、意義について伺います。お願いいたします。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 博物館法とは何かということでございますけれども、博物館法によりますれば、まず、博物館は、社会教育施設として、資料の収集、保管、展示、教育、調査研究を行う機関として位置づけられていること、それから、博物館の基本的な役割、機能を確保するために登録、相当施設の指定を制度化されたものでございまして、これに伴いまして、様々な税制上の優遇措置ですとか補償制度が備えられている。そして、専門的な人材の養成とかも推進することというのが位置づけられたものでございまして、これらをまとめまして、博物館という形の機能する館を定義づけているところでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 制定された意義ということを伺ったわけですけれども、この制定から七十年が経過しております。この博物館法若しくは博物館に求められる役割ですとか機能について教えてください。大臣、お願いいたします。

末松国務大臣 博物館の機能というか、先生、今回の改正の意義というものでよろしゅうございますかね、話は。

 博物館法につきましては、今、次長が答弁したとおりなんですけれども、博物館法、制定から七十年経過しておる。博物館の数は約三十倍に増加した、二百だったのが今五千七百、ただし、登録博物館、相当施設、類似施設等も入れてですけれども。特に、地方独立行政法人や株式会社立の博物館、そして美術館が設置されるなど、博物館を取り巻く状況は大きく変化してございます。

 また、近年、文化芸術基本法であるとか文化観光推進法が新たに成立しまして、博物館に文化観光や町づくり、そして国際交流、あるいは産業、福祉との関連も出てまいりました。こういうことで、文化施設としての役割も求められてございます。

 今回の法案は、このような背景の下で、約七十年ぶりに法の目的や博物館の事業内容、登録制度の見直しを行うとするものでございまして、実は、博物館の関係者の方々からも早期の改正等について要望を頂戴をいたしておりました。文部科学省としても、喫緊の課題として博物館の振興に取り組んでいるところであります。

 文化審議会では、二年審議をいたしました。その中でいろいろな課題も残してございます。学芸員の在り方についてもいろいろな議論が出ましたけれども、今回見送ったようでございます。

 当然、博物館の質もどう上げていくか、学芸員の質もどう上げていくかといったようなこともございますので、今後とも注視しながら、まずはこの法律改正を先生方に御審議いただきたいというふうに思ってございます。

岬委員 大臣、ありがとうございます。

 今回のこの法改正の目的、近年の博物館に求められる役割が多様化、高度化しているということも踏まえまして、博物館の設置の主体の多様化を図りつつ、また、その適正な運営を確保することが必要となります。

 そこで、この博物館法、確認をしていきますと、登録博物館というものと、また博物館相当施設というもの、及びこの博物館法には位置づけられてはいない博物館類似施設という三つがございます。

 今大臣がおっしゃってくださったように、二〇一八年現在で調べてみますと、登録されているものが九百十四、そして相当というものが三百七十二、そして類似というものが四千四百五十二館となっております。この数字から見ますと、全博物館の約八割が博物館法の対象外でございます。直感的にも、随分少ないなというのが印象にございます。

 この登録要件を満たしているのに博物館類似施設にとどまっている施設、これはなぜ登録に至らないのか、その原因と理由、これを文化庁はどのように分析をされていらっしゃるのか、伺います。お願いいたします。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 登録博物館の数がこれまで十分に増えてこなかった理由ということでございますけれども、登録の対象となる設置者の法人類型がまず限定されていたということ、それから、学芸員の設置ですとか、開館日が百五十日以上などの基準がありまして、これを満たさない館もあったということ、それから、登録のメリットが申請コストに見合わないとか、今の館それぞれのやっている事業から見ると、登録でなくても類似施設のままとか相当施設でいいやというような形のものがあるなど、いろいろ各館、様々なお考え、様々な事情があるということによるものと考えております。

 現在の登録博物館は先ほど御指摘されたとおりでございますけれども、いずれにせよ、今回こういう法改正によりまして設置主体の多様化を図ることなどによりまして、新たにこれからも登録博物館を目指すというところが出てくるのではないかと想定しているところでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 そもそも、これは認知度というものではどうなんでしょうか。余り知られていないのではないかと思うのですが、その辺り、確認させてください。お願いいたします。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今の博物館登録制度といいますのは、その主な目的が、博物館の基本的な役割や公共的な機能を確保し、税制優遇等の対象範囲を明確にするという、かなり行政の手法というような形で元々認識されているところがございまして、これまでこういう認識で運用されてきたことから、広く国民に対して広報するという発想が弱かったのではないかな、このように考えております。

 このため、昨年の文化審議会答申では、登録されること自体が各館にとっての信用や認知度の向上につながるような制度を目指すというふうに提言されたところでございまして、こうしたことから、今回の法改正案では、その位置づけを改めまして、登録等に当たってはインターネット等を通じて公表することを義務づけたりしているところでございます。

 いずれにせよ、こうしたことから、法案成立後は、広く国民に対し、あらゆる機会を通じて積極的な広報活動に取り組んでまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 やはり、認知度が低いというのは大変問題ではないかと思います。博物館の登録制度自体、国民に認知されていなかったという改善点があります。

 そうなると、例えば、最近ですとヤングケアラーという言葉、なかなか知られていなかった、初めて聞いたというものがあったと思いますが、随分と急激に浸透しているなと思われます。これは、令和四年度から令和六年度までの三年間を集中取組期間として、中高生の認知度五割を目指して、認知度を高めていこうということをされています。このように、博物館法の登録に関しても、文化庁としていろいろと認知を向上させるような取組があればいいのではないかなと思った次第です。

 そして、今、御答弁にありましたけれども、今回の改正法、これは第十四条第二項におきまして、都道府県の教育委員会は、博物館の登録博物館であることを国民に広く周知する観点から、登録した博物館の設置者の名称ですとか、また住所、登録した博物館の名称や所在地、登録の年月日をインターネット等で広く公表しなければならないという答弁もございました。

 例えば、自治体のホームページで積極的なPR展開をされているところもございます。それだけでは、しかし、少し弱いのではないかと思うわけですね。そうであれば、例えば、どんな展示をしているのかですとか、休館日がいつなのか、また、時間の、いろいろ、今短縮があったり変更がされておりますので、時間をしっかりと明記するですとか、博物館の概要や博物館のホームページをリンクさせるなどの工夫が必要でないかと思います。

 そういった情報発信をもっともっと、決められた、義務づけられたこと以上に工夫をしていく必要があると思いますが、その辺りはどのようにお考えでしょうか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、都道府県等の教育委員会が、登録等に際して、博物館の基本的な情報をインターネット等を通じて公表することを義務づけております。これは、登録博物館のリスト公開につきまして、法令上ですので、法令上、最低限の義務を都道府県等の教育委員会に課したものということでございます。

 こうしたことから、今委員から御指摘、御提案がありましたとおり、各教育委員会や各館自ら、地域の状況等に応じて、これらの基本的な情報に加えて、国民や県民、市民の皆様にとって有益な様々な情報、これを提供していくことは大変望ましいことでございますし、有意義なことであると考えております。

 この改正を契機といたしまして、都道府県の教育委員会が様々な博物館に関する情報を積極的に公開していただいて、博物館をより国民、県民、市民にとって身近な存在となるように更に促してまいりたいと思います。御指摘ありがとうございます。

岬委員 ありがとうございます。

 続いて、登録に関するメリットのお話がございました。やはり、登録しようとするときに、その手間ですとか面倒、そしてコストを考えたときに、更にメリットがあるなと思わなければ、そういったことをなかなか行動として取りづらいと思います。

 登録しようとするインセンティブについても伺っていきたいと思います。この登録することによってのメリット、そして手間と考えたときに、どうするとこのメリットの方が上回っていくのではないかとお考えなんでしょうか。

 例えば、昨年の十二月、文化審議会におきまして、博物館法制度の今後の在り方について、答申においても、登録博物館となることのインセンティブ、これは予算ですとか、また予算の措置、税制の優遇なども含めて、できる限りの拡大をさせていくことが重要であると記載がございます。この登録を促すに当たって、登録のメリットをしっかりと打ち出していかなくてはいけないと思います。

 現状、具体的な検討ですとか状況、どんな状況なんでしょうか、教えてください。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 博物館の設置者は、登録されることで法律の地位が与えられ、信用や知名度の向上が期待できますとともに、税制上の優遇措置や美術品補償制度の利用などの法律上の優遇措置を受けることが可能となります。

 今、委員御指摘のとおり、いろいろ、これからメリットをどういうふうにしていくかということは大切なことでございますし、先ほどからも諸先生方から御指摘をいろいろ頂戴していますが、やはり各博物館それぞれのやっていること、事業、それからそこにおけるメリットの感じ方、それぞれ様々でございますので、文化庁といたしましては、この法案成立、お認めいただければ、この後、この法案を契機としまして、登録のインセンティブについて更にもうちょっと深くいろいろと各館と相談したり、各地域とも相談しながら、このインセンティブをどのようにつけていくといいのかというのをまた考えてまいりたいと思いますし、また、そうしたものを更に進めながら、今ある登録のメリットを更に関係者に対して広く周知してまいりたい、このように考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 今お話しいただきましたけれども、まだまだちょっと案がなかなか出てきていないのかなというのが印象でございますが、私が思うに、登録されること自体が、各博物館にとっての信用度であったりとか、そして認知度というものにつながれば、これ自体がメリットになっていくのではないかと思います。

 そうしますと、登録制度自体がブランディングされていく必要があるのではないでしょうか。それぞれの博物館であったり美術館、また動物園は、いろいろなブランディングにも努めているとは思うんですけれども、制度自体でブランディングをしていく。登録をすることによって得られる信用度、また認知度というものがあれば、しっかりと打ち出していけるのではないかなと思います。

 こういうことが打ち出していけると、来館される方が増えていく、そうすると収益も増えていく、そうするとまた施設へ投資することもできるという、いい循環ができてくると思うんですけれども、この辺りの好循環をつくっていくということに関して、ブランディング、どのように大臣、お考えでいらっしゃいますでしょうか。

末松国務大臣 お答えは、先生、現在進行形でございます。

 今御意見をいただきました。

 御指摘のとおり、昨年の文化審議会答申では、今回の法改正を契機にしまして、登録されること自体を各館にとって、先生おっしゃったように、まさに信用そして認知度の向上、この二つにつながるような制度を目指すことが提言されております。

 例えば、フランスで、昨日もちょっと会議で話をしておりましたのですけれども、ミュゼ・ド・フランスという認証制度がございまして、約千二百軒の公立、私立の博物館が認証されておりまして、一定以上のサービスを保証するラベルとしても機能していると聞いてございます。

 添付資料も拝見しましたけれども、登録証や登録プレートの交付とか、登録博物館制度が認知されるためのキャンペーンの実施、国による積極的な広報活動を行うことにより、登録されること自体が各館にとって信用や知名度の向上につながる制度というようなことも書いてございます。

 そういうことなんですけれども、法案成立の暁には、新たな登録制度の実施を通して、各館の信用や認知度の向上につながるよう、一定の要件を満たした博物館の登録を積極的に推進していきたい、そのことを念頭に置いております。

 したがいまして、現在進行形で考えておりますので、いろいろなまた御指導をいただきますようにお願いを申し上げます。

岬委員 大臣、ありがとうございます。是非具体的に、よろしくお願い申し上げます。

 ここまでは、登録を促していく、積極的に登録をしていただく方向での御質問をさせていただきましたが、登録が増えていけば増えていくほど、その軌道から外れてしまったり、また継続が難しくなったり、そういった博物館も出てくるかと思います。

 そういったところで、登録の取消しについてもしっかりと見直していく必要があるかと思いますが、調べてみますと、現行では、登録を取り消さなくてはいけない、要件を欠くに至った場合に、取り消していかなければならないという、義務ということになっておりましたが、改正の方を見てみますと、都道府県の教育委員会の裁量に任せている、登録を取り消すことができるというような、義務からできる規定に変わっております。

 それは、柔軟に対応するという意味ではよろしいかとも思うんですけれども、調べてみますと、三年間で取消しの事例は二件ございます。この二件に関しては、後継者がいないですとか、閉館にしてしまうためにできなくなったということでございますが、ここが、都道府県の教育委員会の裁量によって取り消さないケースが出てくるとか、もっと突っ込んだ言い方をしてしまうと、教育委員会と博物館の設置者との癒着、こういったことが疑われないように、取消しに関してもしっかりと精査をして、きちんとした基準を持って進めていただきたいという要望で、ここは次に行きたいと思います。

 さて、先ほど他党からもお話が出ておりましたけれども、では、どういった方が博物館を、リーダーとなって、館長となって引っ張っていくのかといって、館長になる方を調べてみますと、私の方でも同じような懸念が出てまいりました。

 例えば、令和二年九月に、日本博物館協会の令和元年度日本の博物館総合調査報告書によりますと、館長の職歴は、行政職員出身者が全体の三分の一以上いらっしゃるということなんですね。

 また、令和二年四月十一日の美術手帖でのインタビュー記事がございました。これは、横浜美術館の蔵屋館長がお答えになっています。日本の場合、トップに立つ方は行政からの天下りや大学の先生などが多いと述べられています。

 こうしたことから、行政職員から館長になることは決して珍しくない、三分の一以上ですから、多いのではないかと思うわけです。

 また、蔵屋館長はこうもおっしゃっています。行政や大学の先生が館長になることの弊害ということで、多くの美術館の運営費は行政から出ています、そこと太いパイプがあり、かつ文化に深い理解がある人が館長になることは一方合理的と捉えることもできますが、ただ、文化に対する知識や愛情がない方も多いのではないか、ここから弊害が生じるおそれがある。一方、大学の先生は、美術の知識はあっても、美術館の運営や労務管理については知識がほとんどないことが多いと感じる。欧米の場合は、館長教育というものがあって、若いときからトップに立つビジョンを持つ訓練がされていたり、研修がされています。収支もシビアに見る目も養われています。

 これから、この時代、厳しい時代になっております。一見、お飾り的という言葉をあえて使いますが、お飾り的な館長ではやっていけないという、これは蔵屋館長の述べた言葉なんですけれども、そこから、館長に求められる質という部分にもしっかり目を向けていただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、定期報告というものが義務づけられるというふうに伺っております。報告事項について、今後は各都道府県の教育委員会が定めることになりますが、報告の在り方、来場者数であるとか収入といった数字の部分だけではなくて、博物館の根本的な使命となる地道な調査の研究ですとか、また資料の保存等の状況など、取組をもっと主体的に報告していく必要があるのではないかと思います。

 さらに、課題が浮き彫りになれば、しっかりヒアリングをして、その課題の改善に向けても取組が、都道府県の教育委員会の活動としてアドバイスが必要なのではないかと思います。その辺りはどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。お願いします。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案で新たに定めました定期報告により、これにより得ました情報を踏まえて、都道府県等の教育委員会が域内の博物館が抱える課題等について指導助言を行う、これは重要でございます。

 こうした情報を踏まえて、さらに、次の改善をどうするかというのを各県教育委員会、各設置者が考えていくということは大変重要でして、これが今回の法律の中でも大切なポイントの一つでございます。

 文化庁としては、この法案成立後、都道府県等の教育委員会に改めてその旨をしっかり周知してまいりたいと考えています。

 また、博物館同士の連携についても本法案で努力義務と規定しているところでございますが、これに加えて、博物館同士のネットワーク化、それから外部資金獲得等の組織改革を行う事業に対しまして、令和四年度予算案において支援することを検討しておりますが、文化庁としても、今後とも、都道府県等の教育委員会と連携して、こうした博物館の適正な運営を確保していきたい、このように考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 是非、実のある報告書ということで進めていただきたいと思います。

 さて、続いて、これから時代は、コロナ禍において、博物館の役割、また、見せ方、展示の仕方というものも変わってきております。博物館におけるデジタル技術の活用について、続いて伺いたいと思います。

 このような時代を踏まえまして、バーチャル観覧というものが取組として行われております。博物館の中には、デジタル技術を活用して、様々な工夫をして、三百六十度から見られる3Dをしてみたり、いろいろな工夫で皆さん頑張っていらっしゃいます。

 文化庁から、幾つか具体的な事例を教えていただきたいと思います。お願いします。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、コロナ禍を契機として、全国の博物館において、デジタル技術を活用した新たな取組が行われていると認識しております。

 例えば、ユーチューブなどを活用してオンラインで学芸員が展示資料の解説を行うギャラリーツアーの取組ですとか、博物館の展示室内の3Dモデルを作成しまして、オンラインでVR映像で展示室を鑑賞できるといったような取組、それから、Zoomなどを活用して、オンラインでワークショップですとか学習プログラムを開催する取組などなど、いろいろな工夫が行われていると承知しております。

岬委員 ありがとうございます。

 私も調べてみましたところ、全国各地で様々な試みがされております。

 例えば、神戸市の人と防災未来センターの取組、こちらも3DですとかVRを活用していらっしゃいます。また、岡山県倉敷市大原美術館、こちらも同じように、VRの技術を使ったり、オンラインツアーも行っていらっしゃいます。さらには、北海道北部の中川町エコミュージアムセンターでもバーチャルツアーが展開されています。そして、埼玉県の県立自然の博物館でも同じでございます。

 このように、創意工夫を加えて、先端技術を駆使しながら、是非ともこのコロナ禍にあっても多くの方に美術館ですとか博物館を楽しんでいただければと思っております。

 また、一番近々でございますと、おととい、三月二十一日でございます、NHKの報道におきまして、山梨県立美術館が、十九世紀の画家ミレーの作品を精巧に複製したクローン文化財、東京芸術大学との協力で作成をされまして公開したという、うれしい報告もいただいております。是非このような展開が増えていくことを望んでおります。

 しかし、ここで、やりたくてもやれないという現実もございます。ノウハウがない若しくは予算や人員が不足している、専門性ができないということで、手が届かないという博物館も多いのではないかと思いますが、こちらについてはどのようにお考えでいらっしゃるでしょうか。お願いします。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、文化庁としては、コロナ禍を契機とした全国の博物館のデジタル技術を活用した新たな取組等に対して、広く支援を行ってまいりました。また、令和四年度の予算案におきましても、博物館同士でネットワークを形成しつつ、デジタル技術の活用を含む新たな課題に取り組む博物館を支援する事業を新たに計上したところでございます。

 この法案の改正を契機といたしまして、各地域、各館の課題などに耳を傾けながら、博物館におけるデジタル技術の活用を一層積極的に支援してまいりたいと思います。

岬委員 ありがとうございます。

 コロナ禍において、実際、学校では、社会科見学ですとか修学旅行、遠足なども、学校行事が中止になったり、延期、縮小になっている、これが現実でございます。このデジタル技術の活用におきまして、直接その場に行けなくてもオンラインで楽しんでもらえる、そして知識を深めていただける、また、教育の場面で活用していただけることが大変望ましいと思っております。

 とはいっても、もちろん、実際に足を運んで自分たちの目で実物を見て体験ができる、これに勝ることはないと思います。

 そこで、これからコロナ禍において、学校が、博物館やそういった施設を含めての社会見学、遠足、修学旅行など、集団で移動したり行動する際に、どうしても話題になるのがワクチン接種の問題ではないかと思います。

 ワクチン接種そのものはもちろん厚労省のことでございますけれども、五歳から十一歳のワクチン接種が今大変問題視され、話題となっております。これは、厚労省が無料で受けられる公的な予防接種に位置づけをしておりまして、今接種を進めている状況でございますが、ここでの質問です。

 学校の先生や職員について、積極的な三回目の接種が今進められております。文科省からも、令和四年二月七日におきまして、「教職員の新型コロナワクチンの追加接種について」という事務連絡が出されています。学校の現場にいる教職員の方々、児童や生徒、若しくはその保護者から、接種券が届いたけれども、ワクチン接種した方がいいのかな、どうかな、副反応がちょっと怖いというような不安の相談も受け付けることがあると思われます。そのため、学校の現場における先生や教職員の皆様方が、ワクチンに対する正確な知識、情報が必要だと考えます。

 その辺りはどのようにお考えでいらっしゃいますか。文科省として、大臣、お願いいたします。

末松国務大臣 新型コロナワクチンの予防接種の対象として、先生お話しのとおり、五歳から十一歳の子供が追加されたことを受けまして、教師がワクチンについて正しく理解しておくこと、大変重要でございます。

 このため、文部科学省では、接種対象が追加された二月の二十一日に速やかに事務連絡を発出しまして、学校で子供や保護者に対し新型コロナワクチンの正しい情報を提供できるよう、厚生労働省が作成しました情報提供資材を周知しております。

 また、文部科学省が作成する新型コロナの予防に関する教師用の指導資料を改定しまして、新型コロナワクチンに関する内容の充実を図る方向で検討しているところでございます。

 文科省として、引き続き、関係省庁とも十分な連携をして取組を行ってまいりたいと思います。

 大変な重要な問題でございますので、内容的にはこういうものが改定中でございます。三月になっていますけれども、これをやってございます。

 以上でございます。

岬委員 大臣、御丁寧にありがとうございます。

 私も、やはり五歳から十一歳の児童という、子供たちは成長段階の育ち盛りでございますので、大変心配をしているお父様、お母様のお声も多く寄せられております。是非、打つのか打たないのか以上に、それをしっかりと検討できる材料、正確な情報提供を強く望みます。

 また、ここで大事なのは、ワクチンを受けなきゃ駄目だよというような、そういった間違った強制がないように、くれぐれも通達をお願いできればと思います。

 また、教育実習に行かれる先生方も、ワクチンを打たない方は学校で受け入れられないというような事案もお聞きしておりますので、そういった偏見ですとか差別につながるようなことがないように気をつけていければと思っております。

 ワクチンを受けたかどうかは、感染するかどうか、うつるかどうかとは全く違う問題であるという認識は、改めて必要なのではないでしょうか。また、ワクチン接種によりまして、副反応又はそれ以上の後遺症につながる、日常生活に支障が出るというような事案も見受けられますので、是非丁寧に、そして慎重に御検討いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、時間も差し迫ってまいりましたので、ここで最後の質問とさせていただきます。

 先ほどお話の中にもございました、これからは、規模にかかわらず、各博物館が持つよい部分の共有、そして新たな成果が得られるように、時代を見据えた関係性をつくって、相互の連携ですとか、またネットワークの構築が不可欠であるというお言葉を頂戴しております。

 最後の質問は、二〇二〇年に文化観光推進法が成立されまして、博物館を含めた地域振興が図られています。個々の博物館それぞれの規模、また博物館の種類ですとか地域性の特徴、そして機能を効果的に発揮できるネットワークの構築、文化の継承、地域活性化、これらをいかにつなげていくかということがとても大切です。

 今回の博物館法の改正を契機に、そうした取組が一層充実し、促進されることを望みますが、これらを踏まえまして、大臣の、最後にお声をいただけますでしょうか。お願いいたします。

末松国務大臣 今回の法案では、数多くあります多様な博物館同士が連携協力するとともに、地域の教育機関や民間団体などと連携協力しまして、地域の活力の向上に努めることを博物館の役割として新たに規定をいたします。

 また、令和四年度予算におきましては、新たに博物館機能強化推進事業を実施しまして、これは四億二千万の予算でありますけれども、博物館同士のネットワークの形成によりまして社会的、地域的な課題の解決に貢献する先進的な取組を支援をすることといたしております。

 全国各地のより多くの博物館が社会の抱える課題の解決に貢献できるように、文科省としても全力で取り組んでまいりたいと思います。

 依然として、今日、全般のお話としては、やはり財源の問題、いろいろやりたいけれどもなかなかというところがありますので、館の方でも、博物館の方でもいろいろな知恵を絞っていただきたいなというのが本音でございます。クラウドファンディングの話も出ましたでしょうし、名古屋の徳川美術館でも大和ミュージアムでも、いろいろな工夫をされているやに聞いてございますので、みんなでいろいろな研究をすべきかなという、そういうときかなと思います。

岬委員 大臣、ありがとうございます。

 最後に私の選挙区でございます名古屋の徳川美術館のことも言っていただきまして、誠に感謝しております。ありがとうございます。

 今日は、多くの質問に丁寧に答えていただきまして、ありがとうございました。私からの質問、以上とさせていただきます。

 ありがとうございました。