文部科学委員会 令和4年4月15日

岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 本日もよろしくお願いいたします。

 本日は、三十五分間の質問時間をいただいております。本日は、いじめ対策・不登校支援等総合推進事業における主にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの問題点について質問し、その後、時間がございましたら部活動改革についても質問をいたします。

 それではまず、いじめ対策、不登校支援等について伺います。

 文科省においては、令和三年十月におきまして、令和二年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査が行われました。

 不登校児童生徒数は、病気ですとかコロナ禍において不登校を余儀なくされている方々、そういった方を除きますと、年間三十日以上登校していない生徒、その生徒数が二〇二〇年度、小学生で六万三千三百五十人、これは前年度比一八・七%となっています。また、中学生は十三万二千七百七十七人と、こちらも三・八%のいずれも増加傾向でございます。八年連続で増えております。また、半数以上は九十日以上の不登校、欠席をしているということで、一年のうち九十日以上といいますと、三か月になるわけですね。非常に長い間お休みしてしまっているという状態です。

 また、この中で自殺も増えております。二〇二〇年度は、小中高生の自殺者、四百十五人でございます。二〇一九年度から急増しておりまして、一九七四年の調査開始以降、最多を記録してしまっております。これは、少子化と言われている中で、貴重な児童生徒の命が、自ら絶っていく、こんな悲しい現実はありません。

 そして、私が三月三十日に質問をさせていただいておりますが、ネットのいじめ件数も増加をしております。

 文科省は、令和三年十月におきまして、同じ調査の中で、パソコンやスマートフォンなどを通じた誹謗中傷といったネットいじめ認知件数は一万八千八百七十件、こちらも過去最多を更新しています。この五年間で倍増したということで、悪化の一途をたどっているなという印象がこのことからも御理解いただけると思います。

 そこで、文科省の取組を調べてみました。さきに申し上げましたいじめ対策・不登校支援等総合推進事業におきましては、スクールカウンセラーについて、全公立の小中学校、週一回四時間配置をするための予算、令和四年度予算は計上されております。そして、スクールソーシャルワーカーについては、全中学校区に週一回三時間の配置をするための必要な予算、令和四年度予算に計上をされております。学校規模等に応じて、配置時間ですとか、拡充、また充実という重点配置に関する予算も令和四年度予算は拡充されております。

 いろいろと試みをしていただけているなということも分かりますし、また、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究も行われております。

 このスクールカウンセラーの配置、全国の自治体で広がっている一方、このように、不登校の児童生徒の数は過去最多を記録していくばかりでございます。この辺りを含めまして、社会の背景には、無理に学校に行きたくなければ学校に行かなくてもいいよという風潮も徐々に出ているようですが、やはり学校に元気に通うというのは基本中の基本だと思っております。

 そこで、質問に入らせていただきます。

 平成七年度からこのスクールカウンセラー配置が開始されました。それから考えてみますと、もう四半世紀、二十五年以上が経過する中で、令和二年、三万件のスクールカウンセラーは配置されているんですね。数をそろえていっても一向に問題は解決していない、これはどういうことなのかなと考えてみました。もちろん、子供に関する問題の多様化、複雑化というものも挙げられますけれども、なぜ成果が思うように出ないのか。何が足りないと分析されていらっしゃいますでしょうか。大臣、お願いいたします。

末松国務大臣 先生から、二〇二〇年度、小中高校生、四百十五人の命が失われたというお話を今改めて伺いました。不登校の生徒の数も、今深刻でございます。

 ただ、様々な課題を抱える児童生徒に対しまして、心理の専門家であるスクールカウンセラーや福祉の専門家でございますスクールソーシャルワーカーによる教育相談体制の整備を図ることは大変重要でありまして、その配置充実を図ってはまいりました。先生は、なかなか効果が出ていないじゃないかという御指摘なんですけれども。

 ただ、こうした中で、教育委員会や学校現場からは、例えばいじめ事案につきまして、スクールカウンセラーが関わり、児童生徒への対応についての助言を得ることで、早期対応や解決につながったという声も多うございます。スクールソーシャルワーカーの配置を充実したことによりまして、学校だけでは対応が難しいケースで、ソーシャルワーカーは外とのつなぎでございますので、先生御承知のとおり、児童相談所などの関係機関と連携して支援できた件数も増加したなど、配置による、一面、ある一定の成果が報告もされております。

 一方、例えば児童生徒への対応や教師への助言等のための時間が十分確保できないといった意見もあるのも承知をいたしておりまして、引き続き、課題を踏まえつつ、効果的な配置と相談体制の充実には努めてまいりたいというふうに思います。

 速やかに解決できる簡単な問題でございませんで、地道な努力を重ねたいと思います。

岬委員 大臣、ありがとうございます。

 何が足りないのかという具体的な御回答をいただければと思ったのですが、地道にこれからも続けていくというところにとどまっているのかな、致し方ないのかなという気もいたします。

 文科省は、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの拡充を図る、これからも地道に図っていくと今御答弁もいただきましたけれども、週一回を、これから滞在時間を増やしていくという考え方が一つ。もう一つが、回数を増やしていく、週一回だったものを二回にする、三回にするというように回数を増やしていく、若しくは常勤化をどんどん目指して、できるところから始めていく。これはどのような方針でお進めになるんでしょうか、そこを少し教えてください。お願いします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 現状、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の状況は、御指摘いただきましたように、カウンセラーは全公立小中学校に配置、ただ、週一回四時間、スクールソーシャルワーカーは全中学校区に配置、ただ、週一回三時間ということで、まずは、重点配置等、今年度予算においても、いじめ、不登校のための重点配置であったり、虐待、貧困のための重点配置であったり、重点配置をやっていくということも引き続き重要でございますし、配置の方法、それから回数を増やしていくとともに、ICTの活用場面、全てICTでいいというわけではないですけれども、そうした工夫もしなければなりませんし、あるいは、御指摘いただいたように、常勤化の調査研究委託ということもやっておりますので、そういう配置形態についてもいろいろな角度から検討しております。

 一方で、今言ったように、効果検証というのもしっかりやりながら、一定程度、施策目標というのも、ベンチマークも示しながらやっていく、こういうことも重要であるというふうに認識しております。

岬委員 ありがとうございます。

 今、効果検証という言葉がございましたけれども、この効果検証、各自治体全てで行われているのでしょうか。

伯井政府参考人 御指摘の効果検証でございますが、多くの自治体で行われているようになっているものの、一部で行われていない自治体もあります。令和三年度の財務省の予算執行調査によりますと、スクールカウンセラーは九%が未実施、スクールソーシャルワーカーは二〇%の自治体がその効果検証を行っていないというような実態でございます。

 効果検証を行っている自治体におきましては、例えば、児童生徒等へのカウンセリングや教員への助言等のための時間が十分に確保できていないという、その体制、回数の問題であるとか、あるいは、スクールカウンセラー等の力量、チーム学校の一員であるという認識に個人差がございまして、カウンセラー等と学校間での連携が不十分であるといった課題が指摘されているものと承知しております。

岬委員 ありがとうございます。

 全てできちんと調査が出切っていないという、今お話がございました。

 財務省では、毎年、各省の事業から数十件を選んで、有効性や、また効率性を調べる予算執行調査を実施しております。令和三年度は、このスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー活用事業が対象となりました。

 昨年の九月に公表しました調査結果、私の方でも調べてみましたけれども、効果検証を行っていない自治体も一定数存在している。文科省に対して、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の配置について、自治体に定量的な、また指標例を示して、効果検証の実効性を持たせること、また、配置が効果的で効率的になるように仕組みを検討すべきと指摘が入っております。

 このスクールカウンセラーの重点配置という言葉も出てまいりましたが、定量的な指標等を設定の上申請、そして効果検証を実施している自治体の割合ですけれども、スクールカウンセラーは三六%、そしてスクールソーシャルワーカーは二六%にとどまり、これはかなり低いんではないでしょうか。必ずしもエビデンスに基づいた効果的な、効率的な重点配置がなされているとはちょっと思えません。この重点配置の申請についても、自治体が配置目的に係る定量的な指標を設定、きちんとしていただいて、効果検証を行うことによりまして、エビデンスに基づいた効果的で効率的な重点配置につながる仕組みにすべき、このような指摘も入っているわけです。

 そこで、このエビデンスの必要性、効果的な、効率的な重点配置に係る仕組みについて御質問いたします。

 財務省の予算執行調査が指摘しておりますエビデンスに基づいた仕組みが必要と考えるが、効果検証を行っていない自治体へどのようにこれから対応していかれるんでしょうか。また、この重点配置につながる仕組みについて、具体的にどのような仕組みが検討されているのか、いま一度、明確にお答えをお願いいたします。

伯井政府参考人 御指摘いただきましたように、昨年十一月の財政制度等審議会におきまして、このスクールカウンセラー等の効果検証について、相談一件当たりのコストを比較すると、相談内容ごとに業務量、負担は異なるため一概には比較できないが、都道府県ごとにばらつきがあり、必要性、効果に応じた配分調整の余地がある、各自治体が定量的な指標を設定し、効果検証を行うべきといった指摘がされたところでございます。

 こうした指摘につきましては、確かに、学校規模や学校間の距離によっては効率的な配置に限界があること等の地域事情は踏まえなきゃならないというふうに考えます一方で、ここでも御指摘し、また先生も御指摘いただいていますように、効果検証のための指標の設定といった課題があるということは事実でございまして、例えば、不登校対策を行ったことの相談件数の状況とそれがどう改善したかという、その改善の取組の好転例、そうしたことをしっかり設定しながら、文科省としても、これのエビデンスに基づくその取組の推進、施策の推進ということをしっかり対応していくことは必要というふうに考えておりますし、各自治体にもそうしたことを求めていくことが必要というふうに考えております。

 先ほども答弁いたしましたように、教育委員会からは、カウンセラーによるカウンセリングや教員の助言のための時間が十分に確保できないという御指摘もございますので、こうしたエビデンスに基づく効果検証ということもしっかり対応しながら、必要な支援に努めていきたいというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 検証ですとか調査はされていると思うんですが、そこで把握した課題ですとか問題を、解決に取り組まなければ一向に解決はしていかないということで、これが数に表れてしまっているのではないでしょうか。

 次に、今、常勤化というお話をしました。私の地元でございます名古屋市では、市内全ての公立中学校に常勤のスクールカウンセラーを配置するということで進めてまいりました。現在、それが実現したわけなんですけれども、とはいっても、不登校の生徒は増え続けているというのが実情でございます。二〇二〇年度には三万七千二百十一件の相談があったという実績もあるわけですが、一番がまず不登校、次に精神不安、三つ目に家庭の問題が相談として寄せられていました。

 さて、文科省では、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究ももちろん行われていますけれども、常勤化というものをどのように捉えていらっしゃるでしょう。そして、このような事例も実際ございますけれども、政策にはどのように反映をして、この常勤化に対する是非はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。教えてください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました名古屋市における取組は、文部科学省が平成三十年度から二か年で実施した常勤化に関する調査研究事業において行われております。

 名古屋市が実施した取組におきましては、例えば、常勤化ですので、朝、子供が登校する場面に立ち会って挨拶するなどをすることで子供との距離を近づけることや、生徒指導上の問題について様々な予防的側面が、効果があるとか、あるいは、常勤として毎日学校にいることで、当然ですが、気軽に相談しやすい状況をつくることができるといった結果が得られているところでございます。

 令和四年度予算におきましても、こうした調査研究も踏まえつつ、常勤の職として求められる職責や担うべき職務の在り方、あるいはチーム学校という中での役割とか、検討に資する調査研究を行っているところでございます。

 引き続き、そういう意味での専門的、具体的な調査研究、検討を行いまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 数を増やすだけではなかなか問題の核には触れていけないのではないかという、次に疑問が出てまいります。

 財務省の昨年九月に公表されましたこの調査結果におきましては、問題の複雑化や多様化、これによりまして、スクールカウンセラーの資質の向上、これがとても重要であるということです。この資質の向上が課題だと回答している自治体は、何と一〇〇%でございました。これはやはり、数も必要だけれども、数だけではなく、その資質をしっかりと向上させて、中身のあるカウンセラーが必要であるということが物語られています。

 この課題への取組としましては、研修の実施であるとか、スーパーバイザーの有効利用というふうに回答している方が非常に多いです。そのうち、効果的であったというふうに回答している割合も高水準を推移しておりますので、やはり、質の中、中身を充実していくということが、早急に対応が必要なのではないかと考えます。

 また、資格を取るだけでは全く意味がございませんので、養成していく、資格を取っていただく、その中で適正な人をどのように判断していくか、ここも大変重要なのではないかと思っております。

 次に、このような取組が行われておりますけれども、昨年十一月、同じく地元の愛知県弥富市におきまして、中学校において、三年生の男子生徒が同学年の男子生徒を刃物で刺して殺害してしまうという大変痛ましい事件が発生しました。

 事件後に、大臣、記者会見も行っていただいております。そのときに、末松大臣は、スクールカウンセラーの追加派遣、そして子供たちの心理状態、精神状態のケアに当たりたい、そのようにお話をされております。追加派遣に要する経費の支援も表明されていらっしゃいます。

 この事件を受けまして、愛知県教育委員会は、二〇二二年度から、緊急時に学校にアドバイスをするスーパーバイザーを七人、増員をしております。これは質の向上に実際つながっていったのでしょうか。私は、そうかなと、ちょっと首をかしげてしまうわけですが。

 そこで、質問です。

 スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの質の向上について、文科省はこれまで、連絡協議会の開催など、質の向上の取組の支援も行っていただいております。これで十分に質の向上、図れましたでしょうか。また、適正な人材をどのように見極めていくのか、どのように判断していくのでしょうか。質の向上また確保について、そして、スーパーバイザーの活用などをどのようにするのか、見解をお聞かせください。

末松国務大臣 先生から、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの質の向上の御指摘をいただきました。

 様々な課題を抱えます児童生徒の支援に当たりましては、心理の専門家でありますスクールカウンセラーや福祉の専門家でありますスクールソーシャルワーカーの果たす役割、大変重要でありまして、その相談活動の質の向上は、これも極めて重要なテーマでございます。

 このため、文部科学省におきましては、自治体におけるスクールカウンセラー等を対象とした研修の促進であるとか、あるいは、スクールカウンセラー等の効果検証の促進を図ることといたしております。

 ただ、先生おっしゃったように、簡単にはなかなか前へ進んでいない状況を先生から今御指摘をいただきました。それに加えましても、効果的で迅速な支援の実現に向けまして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、そしてスーパーバイザーの活用に係るガイドラインの作成とその周知、そして、スクールカウンセラー等の活用事例集の作成、周知等に取り組んでいるところでございます。

 令和四年度予算におきまして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を拡充したところでございまして、引き続き、教育相談体制の充実と質の確保に努めてまいりたいと思います。

 職員ともいろいろな話をするんですけれども、例えば、子供たちが相談に来てもらいやすいように、子供たちのプライバシーを守ってやるような工夫もやはり必要だし、子供が入りやすい色遣いなどもやはり必要であるということで、きめ細かな配慮もたくさんやらなきゃならない点を昨日ちょっと話し合ったわけでございます。

 いろいろと御指導、お願い申し上げます。

岬委員 大臣、ありがとうございます。

 まさに今大臣が言われていました相談しやすい環境という部分で、実際、モデル事例を私発見しましたので、本日、御紹介をさせていただきたいと思います。タブレット端末を活用した相談体制の構築について取り組んでいるという部分です。

 国は、学校にスクールカウンセラーやソーシャルワーカーの配置、相談しやすい環境を整えていこうと取り組んでいるわけですけれども、必ずしもその成果が思うように見えていない。これは、あくまで相談を待つという体制でございますよね。それではなかなか、相談の垣根が高過ぎて、子供たちにとっては、相談する場所がない、相談できるところはないというふうにまだ認知されてしまっているのではないかと思います。

 相談を待っているだけですと、深刻に思い詰めて命を絶ってしまう理由、これは事例を調べてみても、理由が分からない、不明であるということなんです。全体の事例の中で、理由は不明で自殺をさせてしまった、これは半分以上を占めています。つまり、子供は一向に相談ができていなかった、子供は孤立で追い詰められてしまったという結果の表れではないかと思います。

 そこで、本日御紹介したいモデル事例ですけれども、神奈川県鎌倉市でございます。取組、私が今日三枚、皆様方にお渡しをしております。こちらです。子どもSOS相談フォームというものがありまして、これの大きな特徴は、タブレットを使っているということです。

 コロナ禍におきまして、タブレットが子供たちに急速に普及しております。そこで、電話をかけるというダイヤル式のSOSはありますけれども、実際、皆さん、何か困ったときに、じゃ、電話して相談しようという気持ちになれるでしょうか。特に子供たちは、電話からは随分離れてしまっているわけですね。であるならば、手軽に、身近にある、いつも手元にあるタブレットを使って、そして、思ったときに、思った瞬間にアクションが起こせる、これは随分と間口が広がるのではないかなと思うわけです。

 この一枚目には、子どもSOS相談フォームということで、鎌倉市の公立小中学校に通う全ての児童生徒が利用が可能です。

 そして、二枚目を御覧ください。

 タブレット端末の画面上に現れてくる画面です。アイコンをタップしますと、相談フォームがぱっと出てまいります。いじめや家庭に関する悩みなど、相談内容、今の気持ちをぱっと選べるような簡単な形式、直感的に選択ができる形式になっています。

 そして、三枚目を御覧ください。

 担当の教師なのか、スクールカウンセラーなのか、それとも市の相談員なのか、相談したい人は誰ですかというように、子供たちが自ら選択をしている、自分たちが選んでいるんだというように子供たちには印象を持ってもらえるという形を作っております。

 これは、今年度から本格的に運用することになりまして、簡単に操作ができる仕組みを整えることで、悩みを持ち込まずに、ちょっと相談してみようかなと、このハードルが低くなった事例ではないかと思います。

 実際に、私、鎌倉市の教育長と昨日話をしました。岩岡教育長と面談したお話です。導入に至った経緯を聞きますと、子供たちが相談をしたいという思い、そのタイミングというのは、ほんの一瞬だそうです。まあいいや、自分が黙っていればいいや。若しくは、子供たちというのは、大人以上に適応力があるということです。これが特徴ですので、自分さえ我慢していれば、自分さえ言わなければこれで済んでいくんだ、そういう思いが子供たちを追い詰めている。ですから、この一瞬を大事にしたいという背景があったそうです。

 そして、システムの構築の難しさ、また工夫した点でいきますと、では子供たちに悩みの内容を書いてくださいと言いますと、書いているうちに子供たちは途中でやめてしまったり、書いたことで満足をしてしまって、もう送信をしなかったりという事例があるそうです。なので、選ぶ、選択をして、そこをタップするだけで次に進んでいけるというステップにしたということでございました。

 そして、システム導入を受けた反応、これは気になりますね。そうしますと、PTAですとか、また地域の住民の皆様、見守り隊の皆様からは、いい取組だ、期待しているという高評価が寄せられているということです。

 もちろん、まだ始まったばかりではございますけれども、大変これは、横展開をして全国に広げていくと、今まで見えなかったいじめ以外の家庭の問題、ネグレクトや、また虐待、そしてヤングケアラーの問題、そういったことの声が、子供たちの心の声が聞こえてくるのではないでしょうか。

 また、心配な個人情報の問題ですけれども、学年と氏名は書いてもらいますが、フォーム上に残さないように対応ができるということです。

 そして、ほかの自治体でもこれは難しくてできないんじゃないでしょうかという質問をしたんですが、実はとても簡単だということで、グーグルのワークスペースを使用しているということです。また、経費も無料でできるんですね。コストもかからない。そして、簡単なフォーマットで作ることができますので、自治体どこでも、やる気にさえなっていただければできるのではないかという見解を示していただきました。

 このオンラインでの相談というのは、まず相談ができるんだと子供たちに思ってもらう、その一歩を踏み出してもらうためのツールでございます。もちろん、最終的には、希望する子供たちには対面で相談をしっかりとできる体制が一番大切であり、そこにつなげていくための選択肢であるということです。

 さて、この中から、スクールカウンセラーですとかスクールソーシャルワーカーの拡充、予算や質の問題などいろいろ挙がっております。これはとても時間がかかります。大臣も御答弁いただいたように、地道にこれからも継続していく、これはもちろん継続をしていただきますけれども、このような、岩岡教育長の話にもあったように、こういった新たなものもどんどん展開をしながら並行して進めていくと、失われなくていい命が失われず、解決できる問題が解決していける、そういった子供の未来、また環境がつくれるのではないでしょうか。

 そして、週に一回、週に数日、数時間しかいないカウンセラーに、なかなか、相談をするというのは垣根が高過ぎます。やはり、子供たちにとっては、見慣れない人が時々来ている、その人に、自分の思い、なかなか打ち明けられるというのは難しいし、そもそも認識がされていないというお話もございました。

 是非、全国的に取り組んでいただいて、相談のハードルを下げまして、最初の一歩を踏み出しやすくしてもらえると子供たちにとっては有効ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

末松国務大臣 岬先生にお答え申し上げます。

 一人一台端末を含むこのICT、児童生徒の悩みや不安を把握したり、児童生徒がSOSを発するための有効なツールになると考えておりまして、文部科学省としても、優れた活用事例を各都道府県教育委員会に周知をしてきたところでございます。

 一方で、今後は、ICT活用上の成果や課題、円滑な導入のための体制整備等の検証を行っていくことも大変重要でございます。そのため、これまで実施をしてきましたSNS等を活用した相談事業に加え、令和四年度におきましては、今先生から資料をいただきました、一人一台端末等を活用して認められた効果や課題及び留意すべき点についての検証を目的とした調査研究事業を実施するために必要な経費を計上いたしているところでございます。

 引き続き、文部科学省としては、様々な悩みや不安を抱える児童生徒の早期発見、早期対応のため、一人一台端末を含めたICTの活用を先生御指摘のように推進してまいりたいと思います。

 大変、この鎌倉のSOS相談フォーム、勉強になりましたんですけれども、私の方も、吹田市教育委員会が出してございます。どうしましたかと、私のことか、誰のことか、ボタンを押すようになっていて、クリックする、見た、聞いた、参加したと、内容も進んでいくということなんですけれども、これだったら相談しやすい一つのツールになるなということを大いに感じたところでございます。

 よろしくまたお願いを申し上げます。

岬委員 大臣、ありがとうございます。

 そうですね、もちろん、私が本日皆様方にお配りしたのはたまたま鎌倉市でございましたけれども、このような展開をしているところは全国ほかのところにも多くあると思います。是非、私たちの発想には今までなかった、対面、電話、それ以外にもあるんだよと、そして、チャットのように、子供たちが言葉を発するわけでなくても心の声を気軽に出していける、そんなツールをうまく活用していただいて、子供たちの心のケアであったり、明るく元気に学校に通えるような、そういった入口をどんどん整備をしていただければと考えております。

 さて、時間が大変中途半端になってしまったのですが、もう一つ。

 今、新学期を迎えまして、子供たちは、部活動、これは学校に行くことのとても楽しみの一つ、重要な一つになっていると思います。しかし、教員の方からすると大変負担があるということで、教員の働き方改革の大きなテーマとなっているのがこの部活動改革でございます。先日、三月三十日には、私の同僚の早坂議員もこの部活動改革について質問をさせていただいております。

 さて、最近は、地域にこれを移行していこうという取組がされております。先日、これも私の地元名古屋市ではございますけれども、名古屋市においても民間に委託をしていこうという動きが見られておりますが、部活動の取組、学校から地域へと移行していこうというこの動きについて、どのようにお感じになっていらっしゃいますでしょうか。文科省の見解を教えてください。

串田政府参考人 お答えいたします。

 部活動の地域移行についてでございます。

 まず、令和二年九月に文科省が取りまとめました学校の働き方改革を踏まえた部活動改革におきまして、改革の第一歩といたしまして、まずは、令和五年度からの休日の部活動につきまして、地域単位のスポーツ活動に段階的に移行するという方針を示したところでございます。

 こうした方針もございますので、文科省におきましては、令和三年度から実践研究を実施しておりまして、様々なモデルが創出されるような地域での実践研究というものを進めているところでございます。

 また、こうした実践研究の事例を全国に広めるとともに、昨年十月には有識者会議を設置しておりますので、こうした会議におきまして、今後の地域移行の方向性などを議論し、五月には最終的な提言を頂戴したいというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 是非進めていただきたいと思いますけれども、現在、拠点校になっているのが、一万校のうち二百三十校ぐらいしか拠点校の申出がないようですから、まだまだ、五年から始めるということですが、準備が整っていないのではないかなという不安がございます。

 この件に関しましては、また次回、いろいろな方向性から質問をさせていただきたいと思います。

 本日は、以上でお時間いっぱいとなりました。ありがとうございました。