令和5年3月16日 災害対策特別委員会

南海トラフ地震の発生が高まった時に発出される「南海トラフ臨時情報」の理解不足の原因や、避難所運営のデジタル化について、
デジタル庁の実証実験を取り上げ、その効果や課題について質問。
消防団や防災士の活用など、地域の防災力の向上について、谷大臣に質問しました。

○岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。
 質問の冒頭、東日本大震災から、先日三月十一日を迎えまして十二年がたちました。改めて、亡くなられました方々への哀悼の誠をささげますとともに、被災されました皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 また、昨年は江藤委員長始め皆様とともに宮崎県の災害状況の視察に参りました。機会をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、質問に入ります。
 全国どこでも被災する可能性があるということ、しかしながら、災害をなくすということはできません。それならば、被害を最小限に抑えることが必要となります。そのためには、住民の皆様、国民一人一人の心構え、そして、早期避難の基準が明確であることも必要だと考えます。
 まず、南海トラフ地震対策、また、南海トラフ地震臨時情報についての質問でございます。
 南海トラフ地震、言葉はよく聞きます。私の地元も愛知県でございますので、この地域に該当をしているわけですが。とは言っても、三十年以内に七〇%、八〇%とも言われておりますが、なかなかその深刻さであったり、どうしていったらいいのかということが明確ではないのが事実でございます。
 そして、気象庁では、南海トラフ地震臨時情報を発表するということで、防災に役立てようと設けられました。二〇一九年から運用が始まりましたが、実際はどうかといいますと、理解度を集計した結果が中日新聞二〇二三年の三月三日に発表されております。県内全域で対策が必要と言われている愛知県、三重県、静岡県、滋賀県、さらに、岐阜県、長野県を加えました六県の読者を対象に行われております。
 そうしますと、驚くことに、臨時情報の内容を十分に理解していないという方が八割を超えております。八七%ということなんです。これは、四年たっているわけですが、なかなか周知徹底がされていない。この状況ですけれども、考えられるのが、気象庁の、地震発生三十分以内に一回目、そして二つ目が二時間程度で臨時情報を流すということですが、これが、情報の出し方が複雑で、また、内容がうまく伝わっていない、住民にとっても戸惑いがあるということが挙げられるのではないかと考えております。
 そこで、三月九日に谷大臣が所信を発表されております。南海トラフ地震臨時情報についても令和元年より運用を行っておりますが、これらの制度が住民の適切な防災対応につながるよう、関係自治体等としっかりと連携しながら、引き続き周知に努めてまいりますとございました。
 先ほども申し上げたように、運用から四年が経過いたします。さて、理解の不足に対する問題点、また、その原因はどのようにお考えでしょうか。いま一度、大臣、教えていただけますでしょうか。
○谷国務大臣 南海トラフ地震は、一度では終わらず、時間差で発生する場合があることが知られているところであります。
 このため、政府では、時間差で発生する地震に対して注意を促すため、令和元年五月から南海トラフ地震臨時情報の運用を開始し、情報が発表された際に、事前避難など国民一人一人が取るべき防災行動を呼びかけることとしているところでございます。
 その周知が十分でないのではないかという御指摘でございました。我々としては、様々な自治体向けの連絡会を毎年開催するとか、冊子とか動画の作成、公表などの取組を実施してまいりましたが、ただ、頻繁に発表される情報ではないこともあり、理解がなかなか進んでいないと考えているところでございます。
 このため、今後は、これまでの取組に加え、国民への情報発信において影響力が大きいメディアとの連携を更に深めるとともに、SNSを活用した周知とか、自治体職員向けの研修、学校や自治体等への漫画冊子の配布、各種シンポジウムでの講演、周知などを実施していきたいというふうに思っております。
 先日のNHKの、二日間にわたって行われました、ああいう大きなマスメディアでの放映ということも大変効果的かと思いますので、それらについても引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思います。
 今後とも、関係自治体やメディア等と連携し、周知が更に図れるよう頑張っていきたいと思います。
○岬委員 ありがとうございます。
 是非とも、事前の避難の基準にもなりますので、しっかりと、重要な情報であるということ、そして、そのように、繰り返し地震が発生するために、二度にわたっての臨時情報があるというような基本的なところをしっかりと周知をして、理解を深めていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、災害のデジタル化について質問をさせていただきます。
 デジタル化は、いろいろな分野で活動を進めているところではあると思いますけれども、災害避難所DXへの一歩ということで、二〇二三年三月八日の日経新聞の掲載もございました。デジタル庁は一月に、神戸市での災害時の避難所運営をデジタル化する実証実験を行われたということです。
 このように、デジタル化も進む一方、多くの自治体は現在も、避難所や、また、被災者の情報、そして要望などは手書きのファクスが主流であるということです。そうしますと、それをまとめている時間であったりとか、タイムラグも発生して、さらに、人の作業であるとか、そして時間も要すると考えられます。
 デジタル庁は、さらに、福岡市、新潟県においても実験を進めています。システムの活用で、避難所の入退所に関わる作業時間、八割、九割が短縮できたという意見もございます。
 同庁は、まさに今、この三月中に、この実験の分析結果を報告書にまとめられるということですが、全国の自治体に導入を促していくとは思われますけれども、この実証実験を通じて、自治体の職員や住民の方、どれだけメリットが実際にあったのか、また、次にどのような課題が浮き彫りになったのか、さらには、それを踏まえた上で今後どのような見通しを立てていらっしゃるのか、教えてください。
○犬童政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘の実証事業でございますけれども、昨年十二月から、福岡市、神戸市、それから新潟県の御協力を得まして、避難所の運営の在り方について、いかにデジタルで効率化できるかといったことの実証を行ってきてございます。
 紙を使った場合と比較しまして、やはりスマートフォンとか、あるいはタブレットを活用した方が、今御指摘にありましたように、避難所への入所の手続とか、一方で、自治体の職員さんにとっては、関係行政機関との情報共有について大幅な時間の削減が図られたということもありますし、避難されている方にとっては、自分たちの持っているニーズを避難所の運営者に対して迅速に把握していただけるといったような効果が確認できてございます。
 一方で、近年、広域災害が発生していますので、単一の自治体での避難所のシステムだけではなくて、複数の自治体間でのデータの連携、この在り方についても課題として今後残っているところでございます。
 引き続き、今回の実証実験の結果も踏まえながら、関係省庁あるいは自治体さんと連携して、避難所の業務の効率化に努めてまいりたいと考えてございます。
○岬委員 ありがとうございます。
 このデジタル化、今のお話ですと、スマホなどを利用してということですが、いざというときにそれがつながらないであるとか、滞ってしまうという可能性もあるので、そういった異常時にも対応ができるように想定をしてお進めいただきたいと考えております。
 次に、内閣府でもクラウド型の被災者支援システムというものの導入が進んでおります。この導入、どのようにしていくのかというところが、いろいろお話を聞いておりますと、まだまだ不安があるなと思います。自治体といっても、小さなものから、数万人単位から何百万人単位という様々な大中小あると思いますので、それらにどのように対応していくのか、導入をしていくのかということを考えていく必要があるかと思います。とにかく、宝の持ち腐れにならないように、うまくシステムを使って本格的に運用していただきたいと感じております。
 ここで一問、飛ばさせていただきます。
 そのほか、民間とも連携をしながら、民間の知恵をしっかりと導入していくことも必要ではないかと考えております。例えば、私の選挙区でもあります名古屋市では、公式LINEにおきまして、大規模災害時のメニューということで市民向けの訓練の実施を行っていたりとか、また官民連携型防災DX推進協議会が開かれていらっしゃるということ、また災害時の決済、マイナカードでの取組が行われているなど、いろいろと進んでいるかと思いますが、しっかりといざというときにこれが稼働できるようにしていくことが必要だと思います。
 それでは、次です。
 これを踏まえまして、三月九日、谷大臣の所信において、デジタル、防災技術の活用促進という部分も発表がございました。誰もがデジタル化や先進技術の恩恵を受けることができる社会を目指し、防災分野においても、デジタル、防災技術を活用し、被害の最小化、また被災者支援の充実等に努めていくというお話でございました。
 このデジタル技術、日進月歩でございます。民間の知恵や技術の積極的な活用、また官民の連携を密に取りながら、早期にデジタル化を進めて災害時に備えをしていただきたいと考えておりますが、大臣の見解をいま一度教えてください。
○谷国務大臣 日本のこれからを考えますと人口は間違いなく減っていく、そういう中で防災分野においても、デジタル化、防災技術を活用して、被害の最小化、被災者支援の充実などに努めなければならないと思っております。
 このため、国では、防災デジタルプラットフォームの構築を進めておりまして、その中核となる次期総合防災情報システムについては、令和六年度の運用開始を目指して現在開発を進めているところであります。現行のシステムの利用者を地方公共団体や指定公共機関にまで拡大して、国と関係団体等が一体的に災害対応を進めることができる環境を整備するために取り組もうとしているところでございます。
 また、御指摘の、自治体の被災者支援業務の迅速化、効率化のため、クラウド型被災者支援システムを構築して、本年度から運用を開始しているところであります。
 今後とも、デジタル、防災技術の活用をしっかり進めていき、被害の最小化、被災者支援の充実などに努めてまいりたいと思います。
○岬委員 ありがとうございます。
 そして、一番重要なのは、やはり大切なのは一人一人の意識だと考えます。意識の向上、地域の防災力の向上に努めていかなくてはいけません。大臣は、同じく三月九日の所信におきまして、地域の防災力を高めるため、実践的な防災教育の推進や、避難生活支援の専門性を有する人材を育成する仕組みの構築に取り組むとございました。
 まさにこの人材育成というものは重要でございまして、例えばですけれども、防災士という方が大変増えてきました。実は私の息子も高校時代に、長いお休みの期間に募集がございまして、高校時代の夏休みにこの防災士を取得いたしました。このように、学校教育であるとか課外授業、また野球やサッカーの地域クラブで実体験をしたり、応急処置の訓練や研修を行ったり、そして人材不足と言われている消防団の皆様にこのような防災士を取るという機会であったり、チャンス、そういったものも必要ではないか。
 あと、一遍通りの避難訓練だけではなくて、やはり避難訓練の工夫も必要ではないかと考えます。地域では、どこも同じく少子高齢化を言われております。人口減少でコミュニティーの希薄化も進んでいます。消防団員の減少にも歯止めがかからない中で、今申し上げたような工夫が必要ではないか。
 そして、子供の頃から学校教育の中でしっかりと防災意識が日常に備わっているというのはとても重要であり、その子供たち、児童生徒たちがまたいろいろなところでそれを口に出すことによって家族に広がり、地域に広がっていく可能性が十分にあると考えます。
 こうした状況で、消防団員の方々に防災士の資格を取ってもらうだとか、いろいろな取組、学校の避難訓練に防災士の方を入れるなどありますけれども、防災意識を地域で全体で高めていくために、大臣、どのようにお考えでしょうか。最後に教えてください。
○江藤委員長 谷大臣、簡潔に願います。
○谷国務大臣 はい。
 防災のためには、よく言われることでございますけれども、公助、自助、そして共助が必要だと思います。そのために、今御指摘のありましたような防災士のような、そういう専門知識に精通した方を積極的に増やしていくことも大変重要なことだというふうに思っております。
 今後とも、防災士の方々の協力も得ながら、やはりそれぞれの地域で防災の力を高めなければ、今後頻発する、あるいは激甚化する災害に対応できないと思いますので、しっかり頑張ってまいりたいと思います。
○岬委員 ありがとうございました。
 質問時間で終了いたします。ありがとうございました。