令和5年2月17日 財務金融委員会

今年度の税制改正の目玉である「NISA制度」について、現状のNISAの口座数や活用状況や、家計金融資産の半分以上を占める現預金をいかに貯蓄から

投資へと回し、成長と資産所得の好循環に結び付けていくのか、質問しました。

○岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会の岬麻紀でございます。

 そして、大臣、本日も予算委員会で、私どもの日本維新の会の議員が御質問した際に、朝の六時から連日業務が続いているということで、大変ハードな毎日かと思います。改めて、お疲れさまでございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、本日は、所得税法の改正案、そして税制改正に関する質疑ですので、今回の税制改正の目玉ともなっておりますNISA制度について質問いたします。

 何人かの先生方がこの件を質問されておりますが、私どもは一応賛成という立場でございますので、その立場から質問をいたします。

 このNISAというのは、少額投資非課税制度ということでございます。本法案は、NISA制度の抜本的な拡充そして恒久化を行うとされております。先ほども申し上げましたように、私ども日本維新の会は、以前からNISA制度の恒久化及び投資枠の上限拡大を提言しております。基本的な方向性は今回の改正案と一致しております。ということで、反対ではなく、よりよいものにしていくための質問と捉えていただければと思います。

 このNISAですが、最近はよく耳にし、NISAという言葉を知っているという方は大変増えているかと思います。平成二十六年にNISA制度の導入をされてから、今年で十年目となります。

 NISA口座の開設数を調べてみますと、令和四年九月末時点で一千八百四十六万件、日本人の約七人に一人が口座を開設しているという計算になります。一方で、二〇二一年中に買い付け額がゼロという口座、一般NISAで約五割、半分です、つみたてNISAで約三割というように、開設はしたものの、活用、稼働はされていないという口座、相当数存在しているということです。

 そこで、この現状、まずは、政府としてどのように認識、分析をされていらっしゃいますでしょうか。

○堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、まず、事実を申し上げまして、NISA口座の稼働率、これは二〇二一年で、一般NISAが四九・三%、つみたてNISAが七一・七%でございます。

 この数字は、制度開始以降、いずれも伸びております。特につみたてNISAは、制度が開始された二〇一八年のときの稼働率は五八・三%でございましたので、足下七一・七%ということなので、この数年間で大幅に伸びているという状況でございます。

 この結果、NISAの買い付け額、投資額も増えております。一般NISAが開始されました二〇一四年には三・〇兆円であったものが、二〇二一年には二十五・五兆円というふうに、実際の投資額も伸びております。

 無論、我々としても、こうした流れを更に加速させる必要があるというふうに考えておりまして、資産所得倍増プランでは、NISAの総口座数の倍増だけではなくて、買い付け額の倍増も目標として掲げているところでございます。

 この点について、先日鈴木大臣が発言されたとおり、政府としては、今年を資産所得倍増プラン元年と位置づけまして、NISA制度の普及等を図っていくことにしておりますけれども、その際には、単にNISA口座を開設するという、それだけではなくて、それぞれの国民の皆様が自らのライフプランに応じて適切にNISAを活用していって安定的な資産形成を進めていっていただく、この重要性に重点を置いて進めてまいりたいというふうに考えております。

○岬委員 ありがとうございます。

 いろいろアンケートもございまして、調べてみますと、口座は開設しましたが活用していないという、なぜなのかといいますと、そもそも口座を開設するつもりはなかったけれども、銀行の方に、金融機関の方に勧められて何となく流れで口座を開設してしまった、こういった意見が一番多かったです。次に、商品が多過ぎて、何をどのように選んだらいいのかということで、分かりづらいというような、そもそも資金がないというものもございますけれども、今回このように税制改正が行われますと、口座開設をして活用していかなくては、余り意味がございません。

 口座数を増やすばかりではなく、では、どのようなアプローチをして、しっかりと開設した口座を稼働していただこうというように考えていらっしゃいますか。

○堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 やはり、NISAの開設とともに、金融経済教育、これをしっかりと、なるべく多くの国民の方々に提供していく、これが非常に重要だというふうに考えております。

 その中で、皆さん、それぞれのライフプランをお持ちでございますし、それぞれの資金ニーズがあるわけですから、それらに基づいて資産形成をしていただく、その中にNISA等の活用もきちんとはめていただくというふうなことをやっていかないと、口座開設だけの周知ではなと思います。

 したがいまして、今回は、我々としては、NISAの抜本的拡充に加えまして、金融経済教育に関して、その拡充について様々な施策を同時に御提案申し上げるということでございます。

○岬委員 ありがとうございます。私も、そこの点が非常に重要だと考えます。

 さらに、口座を開設していただいたところで、それなりにそれを知っていたり、何らかの興味、関心を持っていることではあると思いますので、やはりそこのスタートが、つみたてがあるであるとか、スタートをしやすい情報提供も金融機関の中であともう一押し、そういった部分も必要なのではないかと考えます。

 それでは、続いてですけれども、この資産所得倍増プラン、NISAを含めておりますけれども、政府は、五年間で、口座数を三千四百万、そして投資額を五十六兆円にいずれも倍増させると目標を掲げているということは何度もお聞きしております。

 ただ、これを見てみますと、個人の金融資産二千兆円から目標額のこの五十六兆円と考えますと、二%強にしかすぎないということなんですね。また、我が国の家計金融資産、二千兆円ですけれども、その半分以上はどうなっているかというと、リターンの少ない、普通預金と言われる現預金で保有されているというものが大変多いです。これはなぜなのかなと考えますと、将来不安が漠然と立ちはだかっているというのが、様々な理由はあるにしても、これが大きな要因ではないかと考えます。

 なぜ家計金融資産の半分以上が現預金であるのか、その理由、そして、どのようにすればこの倍増プラン、しっかりと達成していけるのか、どのような見解をお持ちでしょうか。

○鈴木国務大臣 岬先生御指摘のとおりに、我が国の家計金融資産、その過半は現預金でありまして、アメリカ等と比較して、株式や投資信託などのリスク性資産の保有割合は低いものとなっております。

 その理由でありますが、これにつきましては、市場、経済情勢の影響や、家計のリスク回避的傾向が強いことなど、様々な要因が考えられ、御指摘のような将来不安が理由であるとは一概には言えないのではないかと思います。

 しかし、リスク性資産の保有に積極的と見られるアメリカでも、かつては家計の株式や投資信託の保有比率は日本と同程度にとどまっていたところでありまして、アメリカにおきましては、家計の資産形成を支援する様々な政策的対応を通じて現在のような姿が実現されたものと考えております。

 我が国におきましても、家計金融資産を貯蓄から投資へシフトさせていくためには、中間層を中心とした幅広い層が、将来のライフプランを見据えて、少額ずつでも継続的に、かつ長期的に投資をしていく、そのための環境を整え、家計を後押ししていくことが肝要ではないか、そのように思っているところであります。

○岬委員 ありがとうございます。

 もちろん、様々な将来不安というのがあると思いますけれども、やはり、手元に、すぐに出し入れができるというところに現金を置いておきたい、そういった気持ちが、なかなか投資であるとか流動的な使い方には結びついていないのではないかと考えます。

 そこで、こうした将来不安を取り除いていかなくてはいけないと思うわけですけれども、一つの提案として、税制、そして社会保障、さらには成長戦略といったパッケージで改革をしていく必要があるのではないでしょうか。私ども日本維新の会は、日本大改革プランというものでそのことを提唱しております。その都度、何かあるたびに小手先のびほう策だけでは、もうなかなか立ち行かないということだと感じております。

 さて、先ほど鈴木大臣からもおっしゃっていただきました貯蓄から投資へという流れ、どのようにすればしっかりとそれが行われていくのか、活発にその流動ができるのか、具体的な策はございますでしょうか。

○堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 やはり、貯蓄から投資へというふうに資金の流れを動かすためには、成長と資産所得の好循環、今回の資産所得倍増プランでもキーワードとして掲げさせていただいておりますけれども、この成長と資産所得の好循環、これを実現しなければいけないということだと思います。

 具体的に申し上げますと、家計の資産が我が国の企業の成長の投資の原資になっていく、その成長の結果生まれます企業価値の向上、この果実を、金融資産の所得という形で家計に及ぶというふうな形で好循環になっていく、そういうふうな流れをつくり出していかなきゃいかぬということだというふうに考えております。

 したがいまして、今回、我々といたしましては、資産所得倍増プランでは、NISA等の拡充策を掲げましただけではなくて、企業やあるいは日本の金融市場の、資本市場の魅力の向上ということも併せて掲げさせていただいています。

 例えば、企業の持続的な成長とか、あるいは中長期的な価値向上を図るためのコーポレートガバナンスの改革についての取組であったり、あるいは、人的資本に関する開示ルールの整備といった、企業によって人的資本にしっかりと投資をしてもらう、そういうふうなことを促進するということも含めて、そういう形で様々な施策を推進していきたいというふうに考えております。

○岬委員 ありがとうございます。

 まさにそういった対策は必要かと思いますけれども、今おっしゃっていただいた成長と資産所得の好循環、この言葉もよく聞きます。さらに、家計の資産が企業の成長投資の原資となっていく、これも、先ほどの質問でも鈴木大臣からも御答弁いただいております。

 次のような指摘もございます。個人の資金が本格的に貯蓄から投資に流れるためには、投資した人がリターンを得て、更に投資を増やす好循環をつくる必要がある、そのためには、上場企業が投資先として魅力をもっと磨くべきだ。こういった魅力を磨くという言葉も先ほどの答弁にもございましたが、では、具体的にどのようにその魅力というのを見出し、また磨いていくんでしょうか。

 さらに、日本株市場の魅力は低いまま、国民のお金、アメリカですとか海外の、成長期待が高い海外の市場に流出するのではないかという懸念もございます。

 さらには、個人のお金が投資に向かう道筋が必要です。幅広い国民の株高の恩恵を受けられるようにするとともに、経済を牽引する成長産業を株式市場が後押しする好循環をつくっていく、このような記事がございました。

 では、この指摘において、政府として、個人のお金が国内の企業に投資をしていただくためのその方向に向かう道筋は、どのようにつけていくとお考えでしょうか。さらに、企業が投資をしてもらえるように魅力を高めていくには、どのようにしていけばよろしいんでしょうか。教えてください。

○堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 若干繰り返しの部分がございますけれども、やはり、日本企業及び日本の市場、金融市場、これが世界から見て魅力的なものにならなければいけないということでございます。その結果として、今回のNISA等も含めた成長原資が日本の企業に流れてくるということでございます。

 そこで重要なのが、やはり大きな企業のコーポレートガバナンスということでございます。あるいは、それを支える開示制度ということ、これが非常に重要な要素になってまいると思います。

 金融庁の方では、この二つのものについて、更に促進をするために、様々な施策を今回は併せてやっていきたいというふうに考えております。

○岬委員 ありがとうございます。

 私たちは改正案には大筋賛成であるということを最初に申し上げておりますが、それをよりよくしていく、更によくしていくためには、やはりもう少し具体的な策が必要であると思います。大変上辺だけの施策になってしまわないように、しっかりとしたお取組をお願いしたいと思います。

 さて、これで本日は最後の質問になるかと思いますが、若年層の資産形成にも目を向けてみたいと思います。

 日本株の保有、やはり高齢者に偏っているなという印象がございます。証券保管振替機構によりますと、金額ベースでは七十歳代以上が株主の四割を占めています。では、若年層と言われる二十代、三十代はどうでしょうか。たったの十分の一、四%にすぎません。

 ただ、ほかの見方もございます。水面下ではこの若年層また中年層の投資は広がりつつあるということなんです。証券保管振替機構と日本証券業協会によりますと、二十代、三十代の株主数は、二〇一五年の百十五万人から、二〇二二年九月には五割ほど増えているという数字が出ています。二〇二二年九月の末時点では百七十四万人でございます。人数ベースでは、株主全体の一二%程度になるのではないでしょうか。

 そこで、最後の質問、鈴木大臣にお願いします。

 高齢者の皆さんの資産を取り崩して生活費に充てているというケースが非常に多く感じられます。保有する株式の資産を現金化する動きが想定されるということです。一方、若い世代の方に投資を促進していくことは、若年層の資産形成に資するだけではなく、企業側にとっても安定した資金供給のために重要な意味を持っていくのではないかと、未来、考えております。

 株主の世代交代、これを本格的に進めていく必要もあるのではないでしょうか。先ほどから繰り返し申し上げているように、日本企業の魅力を高めていくことが条件であると思われます。日本企業の稼ぐ力、いかに高めていくでしょうか。また、若年層の資産形成による所得向上をどのようにつなげていくか、最後に御答弁をお願いします。

○鈴木国務大臣 御指摘のように、我が国の家計金融資産は、六十代以上の方が六割以上を保有しているということでありまして、若年層の安定的な資産形成を後押ししていくこと、これは重要な課題である、そういうふうに認識をしております。

 NISAは、長期、積立て、分散投資による資産形成を支援するために利便性の高い制度でありまして、現在のつみたてNISAの利用状況を見ますと、若い世代を中心に利用者が増加しておりまして、投資に関心を持つ方が増えていると認識をしております。

 こうした状況も踏まえまして、NISAの抜本的拡充、恒久化によって、若年層や中間層等の方々の資産形成を更に促進をし、また、金融経済教育の推進など、資産所得倍増プランに盛り込まれた様々な施策も総動員をいたしまして、家計の資産所得倍増につなげていきたいと考えております。

○岬委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、投資が目的ではなく、ライフプランが実現できるための手段としていくように推し進めていただきたいと思います。

 結果、資産所得倍増が目指すべきは、家計の資金を、有望な日本産業、また企業への流動をさせていただきまして、日本経済が成長、是非とも引き上げていただくために、この改正案、頑張って進めていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、ありがとうございました。