令和5年3月10日 財務金融委員会

全国に約52000ある免税店の現状や、輸出物品販売場制度の適正な執行について質問しました。
海外では一般的な税金を後から還付する「リファンド方式」について、消費税の確実な納付と逃げ得を防ぐことができることから、
導入の検討をすべきと提案しました。

○岬委員 皆様、おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。日本維新の会の岬麻紀でございます。

 今回は、関税定率法の一部を改正する法律案の質疑でございますので、輸出入に関連する事項といたしまして、輸出物品販売場制度の免税店についてお伺いをいたします。

 さて、免税店十店舗の免税販売許可を一斉に取り消したという、二〇二三年二月二十四日の新聞記事がございます。本日は皆様方にも資料としてお配りしておりますので、御参照ください。

 これは、不正に消費税を還付を受けようとするなど、東京都内にある免税店十店舗の免税販売の許可を一斉に取り消したというものでございます。悪質な仮装や隠蔽に当たるとしまして、重加算税を含む消費税二十数億円の追徴課税をしたということでございます。

 免税店に対するこのような一斉処分、明らかになるのは全国でも初めての例でございます。免税販売許可の取消し、過去にもほとんど例はないようでございますが、一たび許可が取消しとなりますと、事業者は、最低でも三年間、再度許可を取ることができないという処分でございまして、影響も大きいのではないかと考えます。

 全国にある免税店の数、約五万二千店舗あるということなんです。この中で、不正還付申告について国税当局が還付を留保して調査をする、くまなくチェックをしていく、これはかなり大変な作業であるし、容易ではなく、きちんとチェックができるのかなという懸念もあるわけです。

 そこで、質問でございます。

 新聞記事には、今お話をしたように、免税店の数、約五万二千店舗あるとございますが、この数の推移というのは現状どのような状況なんでしょうか。増えているのか、減っているのか、横ばいなのか、まずはその辺りを教えてください。

○星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 過去十年余りの輸出物品販売場の推移につきましては、平成二十四年四月一日現在で四千百七十三場であったものが、年々増加いたしまして、令和二年九月末現在で五万五千百三十四場となってございました。その後、若干減少いたしまして、令和四年九月末現在で五万二千二百二十七場となってございます。

○岬委員 ありがとうございます。

 かなり右肩上がりで上がっていたものの、コロナの影響もあり、今は少し少なくなり、また横ばいであるというような印象でございます。

 これからコロナも徐々に収まってきまして、インバウンドという、訪日外国人の方々、観光を含め、多くの方が日本に入られるかと思われます。実際に、二〇二三年三月六日の読売新聞によりますと、百貨店での免税販売が好調であるという記事がございます。

 訪日客の消費拡大が期待されるという一方、このような状況、今後、免税店の状況はどうなっていくのか、また、免税店の許可の取消し、毎年どれくらいの件数があるのか、その辺りはいかがでしょうか。

○星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 輸出物品販売場の今後の見通しでございますが、それにつきましては、私ども、ちょっとお答えする立場にはございませんけれども、取消し件数でございますが、直近三年、平成三十一年四月から令和四年三月における輸出物品販売場の取消し件数につきましては、合計十三件となっているところでございます。

○岬委員 ありがとうございます。

 これからの状況はお答えできないということですが、やはり、お立場はあると思いますけれども、どんな見通しなのかというのはお答えいただけたらなとは思っております。

 そして、今お聞きすると、十三件でよろしいですか。十三件だったんでしょうか。ちょっとお声が遠かったんですけれども。この数が少ないか多いかという見解は難しいかもしれませんけれども、全体で五万二千件あるとするならば、この数字、かなり少ないなという印象を私は持ちます。

 これは、そもそも不正が少ないのか、それともチェックができかねているのか、それとも不正は見つかっているけれども取消しにまでは至らないのか、どのようにお考えでいらっしゃいますか。

○星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 国税当局といたしましては、輸出物品販売場制度を悪用した不正事案につきましては特に厳正な対応が必要と考えてございまして、これまで、輸出物品販売場に対する税務調査を実施し、輸出物品販売場の許可の取消しも含めまして不適正な免税販売を是正するなど、必要な対応を行ってきたところでございます。

 また、電子化された購入記録情報を含め様々な資料情報の収集、分析等から、輸出物品販売場で免税購入した物品を国内転売するような事案につきまして、その購入者に対して消費税相当額を賦課決定するなどの取組も行っているところでございます。

 引き続き、税関当局とも緊密に連携しながら、制度の適正な運用に努めてまいりたいと考えてございます。

○岬委員 ありがとうございます。

 財務省関税局は、二〇二二年十一月二十八日に、スマート税関の実現に向けたアクションプラン二〇二二を取組で表していらっしゃいます。輸出物品販売場制度の適正執行に向けた取組ということでございます。

 この制度、免税販売手続の完全電子化ということで、制度の利用実態など、一層可視化ができるようになる、また、更なる不正事案の確認や把握が可能となったとございます。先ほどの御答弁にもありましたように、不正な転売などがこれで抑止ができるのかとも思うわけですけれども、次の質問です。

 この完全電子化というものですが、二〇二一年の十月一日から行われていると承知をしております。完全電子化から一年半ほど経過するかと思われますが、このアクションプラン二〇二二では、税関と国税当局の密接な連携をしていく、そして、適正な執行とあるわけです。実際にどれだけの不正案件を見つけることが可能になったのか、その効果検証としてはどのようにお考えでしょうか。お願いいたします。

○諏訪園政府参考人 お答えいたします。

 税関におきましては、消費税法の規定に基づきまして、外国人旅行者などの免税購入者が出国される際に、購入した消費税免税物品を輸出しないことが判明いたしました場合には、その免除された消費税相当額を徴収することとしております。

 令和三年十月の免税販売手続の完全電子化によりまして、税関において免税購入者の購入記録情報の把握が可能となり、出国時に免税購入情報と免税購入品との確認を行っております。

 輸出物品販売場制度を悪用しようとする事案につきましては、国税当局等とも緊密に連携しながら、必要に応じて出国時に免税購入品の確認を行い、消費税相当額を徴収するなど、引き続き厳正に対処してまいりたいと考えております。

○岬委員 ありがとうございます。

 かなり連携が進みまして、密接に連携を行ってそのような効果があったということでお話を伺いました。

 それでは、不適切な販売が発見できたということですけれども、これは抑止力という点ではどうなんでしょうか。もちろん、この完全電子化というものが抑止するためのものではないことは十分私も承知をしておりますが、やはり未然に防いでいくという視点も大変重要なことだと思います。その辺りはどのようにお考えですか。

○諏訪園政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、税関において消費税免税物品を輸出しないことが確認できた場合には、免税された消費税相当額の賦課決定を行います。

 他方で、出国までの限られた時間の中において賦課決定を行っても、消費税相当額の徴収に至らず、滞納となっているケースも存在いたします。こうした点もございますので、税関におきましては、滞納となった事案について、再入国時に納付の慫慂などを行っているところでございます。

 引き続き、国税当局等とも緊密に連携の上、厳正な対応に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。

○岬委員 やはり滞納という課題が残っているということが今確認できました。

 そうしますと、例えば、海外では、税関の、出国時に持ち出す分の確認を受けて後で税還付を受けるという、いわゆるリファンド方式というのが一般的なようです。この方式であれば、免税販売を装う不正な還付を防ぐこともできます。未然に防ぐことができるということになります。導入の可否について前向きな議論がこれから必要なのではないかとも考えます。

 また、これは、逃げ得という言葉、余り使っていいかは分かりませんけれども、逃げ得を許しかねないこの免税制度、課題が浮き彫りになっているということではないでしょうか。

 また、財務省関税局などによりますと、徴収処分が出ても、今お話にもあったように、消費税を強制的に納付させることが難しいですよね。そうすると、対象者は、納めないまま、そのまま出国してしまう、そういうことも多々見受けられると。そうなると、やはり、免税店の店頭で、購入されたお客様を対象に、これが免税の対象のお客様かどうかをしっかり確認するのは、免税店にとってもマンパワーとして非常に負担が大きいなとも考えられます。

 さらに、海外で主流となっている、今御案内をしましたリファンド方式、これを導入していくと、消費税の確実な納付を促すこともできます。さらに、免税店の負担も軽減できるのではないかなと思うわけですが、いかがでしょうか。

 この点、政府、以前のものを調べましたら、リファンド方式については、平成三十年の三月二日、衆議院の財務金融委員会、このような場で、相対的に外国人旅行者が利便性が低くなるので、リファンド方式を導入した場合の費用は、じゃ、誰が負担するのか、また、全国で、空港で物品確認とか還付の事務、こういった手続をするのは誰がするのか、このような体制をどうやってつくっていくかというような課題があると御答弁されている記録がございました。

 その後、不正事案の増加も受けて、この免税販売手続電子化の、完全電子化にしていくなど工夫はされていると思いますけれども、今どのような状況で、そのときの答弁からの御認識ですとか、それを踏まえた御検討というのはどのように進んでいるんでしょうか。

○住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 輸出物品販売場、いわゆる免税店におきます輸出免税につきましては、現行の免税販売方式につきましては、最初から免税で購入できるということなど、外国人旅行者の利便性が高い仕組みであるというふうに言われております。

 他方で、令和二年四月から、御指摘の輸出物品販売場による免税販売手続に電子化が導入をされまして、これに伴いまして、国税庁におきまして購入記録情報をデータで把握することが可能となったことによって、国内で横流しがされていると疑われるような免税販売、購入の実態が明らかになってきております。こうした事例に対応するために、今般お願いをしております令和五年度税制改正案におきまして、即時徴収の対象者を見直すといったような見直しを行うことといたしております。

 今御指摘がありました、諸外国で採用されているリファンド方式につきましては、平成三十年に御答弁申し上げておりますように、一般的には、実際に事後還付をする方法や手続が生ずるということになりますし、リファンド方式を導入する際に、事業者や行政機関においてシステム改修等のコストが生ずるといった課題があるということは事実でございますけれども、委員御指摘のような実態があることを踏まえ、引き続き必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

○岬委員 ありがとうございます。

 お時間迫ってきましたので、これが最後の質問になるかと思いますけれども、今御答弁をいただきまして、これは実際に時代に合っているのかなという漠然とした疑問があるんですね。

 今お話、御答弁あったように、利用者側、免税店を利用する方側への非常に配慮がされている現状なんだろうと思います。外国人の観光客の方の利便性が最優先されている。ただ、時代に伴いまして、今、爆買いであるとか、横流しの転売であるとか、いわゆる不正が目立ってきました。まさにここからは、取りっぱぐれない、取り損ねない、あとは、逃げ得させないといった、そういった日本国の中で守っていくということが非常に重要ではないかと思います。

 その点を踏まえまして、消費税を確実な納付をさせていく、さらに未然に防いでいくという観点で、リファンド方式、検討していく、導入への方向性など、今はどんな感じでお考えでしょうか。これは、大臣、お立場を踏まえて御回答をお願いいたします。

○鈴木国務大臣 先ほど主税局長から答弁をさせていただきましたが、現行の免税販売方式、これには一定の利便性がある一方で、リファンド方式を採用するに当たりましては様々な課題があるものと承知をいたしております。

 令和五年度の与党税制改正大綱におきましては、外国人旅行者の利便性や免税店の事務負担等を踏まえつつ、引き続き効果的な不正対策を検討していくこととされておりまして、こうした方針に沿いまして、諸外国の制度も踏まえつつ、適切な外国人旅行者向けの免税制度の在り方につきましては引き続き検討をしてまいりたいと思っております。

○岬委員 大臣、ありがとうございます。

 これから外国人旅行者も増えてくると見込まれますので、是非とも、この不正防止のために必要であれば、時代に見合った制度の見直しも含めて御検討いただければと思います。

 質問時間が終了いたしました。本日もありがとうございました。