予算委員会 令和4年2月7日

岬委員 日本維新の会、岬麻紀でございます。

 昨年の十月の総選挙におきまして、初当選をさせていただくことができました。今回、もちろん初めての質問をさせていただきます。そして、今日はテレビ入りということで大変緊張しております。恐らく多くの先輩方がこのような緊張の道を歩んでいらっしゃったと思っております。

 今日は、このような貴重な機会をいただきましたこと、日本維新の会の先輩方、誠にありがとうございます。そして、私の地元愛知五区、そして全国の皆様の声に応えられるように、本日精いっぱいに臨んでまいります。どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。

 本日、隣におりますのは、同志である神奈川十区の金村龍那議員です。お願いいたします。

 さて、今、コロナ禍におきまして多くの皆様が不安な日々を送っていらっしゃいます。しかし、この国難、これまでもこれからもあると思います。まさに激動の時代が続いております。そこで本日は、国民の代弁者として、私は就職氷河期世代の支援について伺います。

 パネルの一でございます。

 氷河期世代というのは、一九九三年から二〇〇四年頃、就職活動を行った皆様が入っている世代でございます。ちょうど私、思い出しますと、バブル景気の世代最後のところに私はおりました。私の一つ二つ後輩は、この就職氷河期世代ということで、大変苦労を強いられてここまで歩んできました。

 そこで、この世代というのは、見てみますと、グラフのように第二次ベビーブームに生まれた方々が多くいらっしゃいます。その出生数たるや年間に二百万人、まさに人口が大変多くて、熾烈な戦いの中で、大学受験やいろいろな競争に勝ち抜くために頑張ってきました。

 いざ社会に出よう、就職しようと思ったときにこのバブル景気は崩壊し、大変狭き門となり、苦労が強いられているわけです。まさに失われた三十年、大きな落とし穴、時代の流れにのみ込まれてしまったと言っても過言ではありません。これは、個々の優劣や、個々が頑張ったからといって解決する問題ではなかったわけです。ですから、社会全体、そして国としてしっかりと関わっていき、支援が必要だと考えています。

 そこで、質問です。

 二〇二〇年一月に、安倍総理は施政方針演説におきまして、就職氷河期世代の皆さんの就業を三年間集中的に一気に拡大するとおっしゃいました。また、二〇二一年一月には、菅総理が同じく施政方針演説におきまして、就職氷河期世代の就職も引き続きサポートしてまいりますと発言していらっしゃいます。

 そこで、現状をお聞きします。

 岸田総理が総理に就任をされて以来、昨年の十二月の所信表明演説、また今年の一月の施政方針演説において、人への投資抜本強化としながらも、就職氷河期世代という言葉を用いて直接の言及はありませんでした。この問題に対する、岸田総理、前向きな姿勢、私には残念ながら感じられません。この就職氷河期世代の置かれている現状や、支援の必要性、重要性について、どのような認識をされていらっしゃいますでしょうか。お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 平成のバブル景気の崩壊以降、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った、いわゆる就職氷河期世代の方々には、不本意ながら非正規雇用で働いている方、またあるいは引きこもり状態にある方など、様々な課題に直面してきた方々が含まれていると認識をしています。これは、個々人やその家族だけの問題ではなく、社会全体で受け止めるべきものであり、我が国の将来に関わる重要な課題であると認識をしています。

 こうした認識の下、就職氷河期世代支援プログラムに基づき就労支援や社会参加への支援などの施策を取り組んでいるところであり、引き続き、昨年末に策定した就職氷河期世代支援に関する行動計画二〇二一に基づき、就職氷河期世代の方々お一人お一人の実情に応じたきめ細かな支援を進めていきたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 就職氷河期世代の支援プログラムというものを私も拝見しました。その中には具体例が幾つか入っております。きめ細やかな伴走支援型の就職相談体制の確立、また、受けやすく、即効性のあるリカレント教育の確立、さらには、採用企業側の受入れ機会の増加につながる環境整備、また、アウトリーチの展開など、具体的なものも盛り込まれております。

 しかし、私がここで疑問に思ったのは、これというのは、伴走型というのは、その当事者がしっかり前を向いて歩んで、走っているからこそ伴走ができると思います。さらに、相談といっても、相談は、相談をしてきていただけなければなかなか相談に乗るということも難しいでしょう。また、リカレント教育、これは私も大変興味を寄せております。また、私自身も今、当事者として学んでおりますが、ただ、このリカレント教育というのは、意欲があり、やる気があり、もっともっとステップアップしていこうと思えるからこそ実現できるのではないでしょうか。

 つまり、この施策は、前向きで意欲のある方には有効かもしれませんが、自己肯定感が低下してしまい、年齢を重ね、そして時代に置き去りになった、社会から置き去りになってしまったと感じている方々に実際響くのでしょうか。その苦しみ、出口の見えない不安な日々を送っていらっしゃる方、まだまだ多くいらっしゃいます。

 この問題の難しさとしまして感じるのは、私、五十代となり、まだまだ人生を諦めるには早過ぎる。しかしながら、新たなことを始めたり、何十年というブランクがある中では、その一歩を踏み出すのは大変勇気が要ることではないでしょうか。今更、もう自分なんて、そして面倒だ、まさに社会が怖い、そんな恐怖に不安をいっぱい抱えている方がいらっしゃいます。

 そこで、質問です。

 二〇一九年六月の就職氷河期世代支援プログラムにおきまして、就職氷河期世代の正規雇用者三十万人の増加の目標を掲げていらっしゃいます。二〇二〇年、そして二〇二一年、どれだけの正規雇用者が増えたのか、現在までの実績をお伺いします。

山際国務大臣 ただいま御指摘の二〇一九年六月に閣議決定されました骨太方針におきまして、二〇二〇年、二一年、二二年と三年間、これを、正規雇用者を三十万人増やす目標を立てておりますが、二〇二〇年の正規雇用者に関しましては、前年から横ばいとなってございます。これの理由としては、御案内のように、新型コロナ感染症が拡大して、その影響が非常に大きかったというふうに分析もしております。

 二〇二一年、昨年の正規雇用者数については、施策の実績と併せまして今春を目途にフォローアップを行う予定です。関係閣僚、関係団体が集まる全国プラットフォームを開催して報告するとともに、公表する予定です。

岬委員 ありがとうございます。

 今、横ばいというお話がございました。

 さて、ずばりお聞きしたいと思います。

 数字は増えてはいないわけですが、この原因として政府はどのように分析をされているかといいますと、今、コロナ禍においてという言葉がございました。そうすると、効果はあったがコロナの影響でなかなか横ばい、そこからうまく伸ばすことができていなかったということなのか、若しくは、この支援政策自体がちょっと甘かったのか、問題があるのか、方向性が違っていたのか、どちらなのかなと私は疑問です。そして、これからどうしていくのか、そして続けていくのか、どうなんでしょうか。その辺り、教えてください。

山際国務大臣 端的に申し上げれば、両方だと思っておりまして、就職氷河期世代の支援策は、一定の成果はあったというふうにも評価はしております。

 具体的には、ハローワークの職業紹介によりまして正社員に就職した方は、令和二年度で約九万二千人いらっしゃいます。また、キャリアアップ助成金正社員化コースでは、正規雇用者等に転換した就職氷河期世代の労働者は、令和二年度で約三万五千人いらっしゃいます。また、少数ではありますけれども、政府として、まずは隗より始めよということで、就職氷河期世代向けの国家公務員試験の中途採用試験を通じて、令和二年度は百九十一人採用してございます。

 ただし、これが十分だというふうには思っておりませんので、きちっとフォローアップをしていかなくてはいけないと思っておりまして、今年度の補正予算におきまして、就職氷河期世代支援を行う自治体を後押しする交付金、これを三十億円確保しております。また、今年度のキャリアアップ助成金につきましても、補正予算で約二百五十億円を積み増して、約九百億円を確保しております。また、ハローワークにおける就職氷河期世代専門の窓口、これは全国に九十二か所ございますけれども、この体制強化等々を措置してございます。

 加えて、岸田内閣におきましては、三年で四千億の人材投資パッケージというものを用意してございまして、これは、総合的に、就職氷河期の方々だけではありませんけれども、スキルアップをして、そしてキャリアアップにつなげていただけるような、そういうまさに伴走型のそういったサービスをこれから提供してまいりたいと思っております。

岬委員 ありがとうございます。

 もちろん、政府が一生懸命に様々な形で支援プログラムを組み、実践をされていることは承知をしております。こちらに、私の手元にも、就職氷河期世代支援に関する施策の実施状況というものがございます。今お話しいただいたとおり、様々な資料もございます。政府の各施策の取組状況も載っております。

 私は、これらの支援策が全く無意味だったなんということはとても言うつもりもありませんし、一生懸命やっていただいていることは感謝を申し上げたいわけですが、既存の労働市場を維持したままで幾ら支援を行っていても、今の成果というのは大変限定的なものなのではないかということを訴えたいわけです。

 これからの時代の変化ですとかまたニーズ、そして様々な産業の変化もございます。そういった中で、柔軟に対応していくことが求められています。今こそ、構造的な改革、是非とも挑戦をしていかなくてはいけないのではないでしょうか。

 なぜならば、まだまだ終身雇用ですとか年功序列、昔ながらの日本型の雇用がございます。つまり、この就職氷河期世代というのは、いざ就職をしようといったその入口のところでつまずいてしまった。ですから、この何十年という大きな時間の中で、皆さんが、思うような就職ができなかった、正規雇用に就けなかった。そうなるとどうでしょうか。安定的な収入が得られない、将来を見据えて希望を持ってステップアップしていけない。そうなると、いろいろな不安がついてきます。そうなると、結婚しようにもなかなか踏み切れない。ましてや、子供を産み、育て、家庭を営んでいく、それには多大なるエネルギーが必要なわけです。そういったときにどうなっていくでしょうか。どんどん孤立をして、そして、私たちは社会保障の問題にも踏み込んでいかなくてはならなくなるわけです。まさに、労働市場の流動化、これを活発にしていく必要があるわけです。

 ではどうするんだということで、私ども日本維新の会が打ち出したのがこちらです。私たち日本維新の会では、日本大改革プランを提案しています。失われた三十年を乗り越え、そして今までの格差社会を打破して、経済成長を取り戻していかなくては、日本の未来は危ぶまれているからです。

 この日本大改革プランの中身は大変複雑で、この限られた時間では追いつきません。とにかく、税というもの、社会保障というもの、そして労働市場というものを三位一体で改革をしていかなくてはいけないということを強く訴えたく思います。

 それでは、続いての質問です。

 岸田総理は、一月二十五日、予算委員会におきまして、この後、本日質問に立ちます日本維新の会の藤田幹事長の労働市場の改革についての質問に対して、労働移動の円滑化ということは大変大きなポイントになる、人への投資ということで、四千億円の施策パッケージを用意して、学び直し、そして就業の訓練や支援をしていく、再就職あるいはステップアップ、こうしたものをしっかりと進めていくということをおっしゃいました。

 この取組で、いつでも、誰でもが本当に再挑戦をしていけるのでしょうか。どうでしょうか。個々の人が適材適所にいかについていくか、そこが大変ポイントであると思っております。総理の見解を伺います。改革、流動化の見解をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、私も、労働市場の在り方、そして、特に労働移動を促進していくという考え方、これは重要な考え方であると思っています。

 その中で、今委員の方から御指摘がありましたように、人への投資を重視する観点から、三年間で四千億の施策パッケージを用意したわけですが、その中で、まずは正規雇用、非正規雇用を問わず、職業訓練と再就職支援を組み合わせ、労働移動やステップアップ、これを強力に支援するために、求職者支援制度やトライアル雇用助成金等の拡充、民間派遣会社を通じたITスキル等の研修、紹介予定派遣等を行うほか、人材開発支援助成金、キャリアアップ助成金において、企業等の民間ニーズを把握しながらデジタル人材の強化を行う。あわせて、デジタル、グリーンなど成長分野を支える人材の確保、育成や、学び直しを支援するために大学等のリカレント教育、そして職業訓練の拡充、こういったものに取り組んでいくとしているわけであります。

 是非、こうした取組を通じて、これからの日本の経済を支える成長分野、成長の分野に労働移動を促していく、こうした流れをつくっていきたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 今お話を伺いましたが、日本維新の会は、政策のマニフェストにおきまして、維新八策二〇二一においても、就職氷河期世代の課題に正面から取り組む、このように明記をしております。今後も就職氷河期世代の課題に真剣に取り組んでいく政党でございます。是非とも、政府にも期待をしながら、私どももしっかりと政策に向き合っていこうと考えております。

 それでは、最後の質問になってしまいますが、令和四年度から、政府が、今までも御答弁いただきましたように、三年間の集中的な支援に取り組むとした最終年度になるわけです。いま一度、直接、総理の口から目標を明言していただきたいと思います。このままの目標で達成できるのか、その意気込みも併せてお聞かせいただきたいと思います。最終年度における岸田総理の目標、意気込み、いま一度お聞かせください。

岸田内閣総理大臣 先ほども山際大臣から答弁がありましたように、就職氷河期世代支援プログラムについては、実行に着手した直後、新型コロナにより日本経済は大きく下振れし、就職氷河期世代の方々をめぐる雇用状況は厳しくなってきたということでありますが、その中にあっても、ハローワークの職業紹介を通じて九万人を超える方々が正社員として就職される、あるいは、新たに設けた就職氷河期世代向けの国家公務員試験を通じて二百人近くが採用されるなど、一定の評価を上げております。

 ただ、結果としては、先ほど答弁にありましたように、正規雇用者数は伸び悩んでいる、九百十六万人程度で横ばい状況にあるという状況にあります。

 しかしながら、プログラムの期間、これは三年でありますので、あと一年残っています。目標に向けて、まずはこの施策の実行に全力を挙げて、一人でも多くの方々が希望する正規雇用の場を得られるよう、しっかり取り組んでいきたいと考えます。

岬委員 ありがとうございます。

 総理から目標と意気込みをしっかりと伺うことができました。人口減少の中、人は宝でございます。私たちは、本当に弱っている、本当に不安だと思っていらっしゃる方にきちんと寄り添える、しっかりと手が届く、言葉だけではない本当の政策をお願いしたく思います。

 政府の取組をこれからもしっかりと注視して私どもも歩んでまいりたいと思います。今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。