令和4年6月7日 科学技術特別委員会

岬委員 日本維新の会、岬麻紀でございます。

 本日は、我が国の存在感を世界で出していくためには欠かすことができない科学技術の分野で質問ができること、大変貴重な機会でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、我が国の勝ち筋となる技術について、まず初めに、五月二十四日の大臣の所信について質問をさせていただきます。

 我が国の勝ち筋となる技術を育てるため、シンクタンク機能やAI、量子等の分野戦略を強化し、政府一体となって実行する。また、小寺内閣府大臣政務官からは、予算の説明において、我が国の勝ち筋となる技術を育てるためのAI、バイオ、量子技術、マテリアルといった重点分野における取組等の推進に必要な経費を関係府省において計上している。この勝ち筋という言葉、とても力強く響いてまいります。

 さて、少し調べてみますと、将棋や囲碁などにおいて、勝利に結びつく手というような意味があるようですが、勝ち筋となる技術とは、世界を牽引していけるような技術や国際的に優位に立てる技術のことを言うのでしょうか。

 そこで質問です。

 まず冒頭、AI、バイオ、量子技術という分野がどのような根拠をもって勝ち筋となる技術であると挙げられたのでしょうか。勝ち筋という表現は、なかなか聞かない表現でございますが、あえてこのお言葉を使われたと思っております。

 さて、この言葉を用いた理由、意義について、まずは大臣にお話をお願いいたします。

小林国務大臣 勝ち筋という言葉自体は、別にこれに特化したものではないというふうに理解しておりますけれども、私、別途、経済安全保障の担当大臣もやっておりますので、我が国の経済安全保障を進めるに当たっての大きな方向性、二つの概念を出させていただいて、一つは、脆弱性を解消していくという意味での自律性を獲得していくこと。もう一つは、日本の他国に対する、例えば技術の優位性というものを獲得し、それに磨きをかけて、国際社会にとって日本が不可欠となるような分野を戦略的に拡大していくこと、これを優位性、不可欠性というふうに言っています。

 この量子とかAIというのは後者の概念に当たり得るものでございまして、量子、AIと言っているんですけれども、量子、AIとざっくり言っても、量子の中にも、量子コンピューターがあるし、センシングがあるし、暗号通信の話も、いろいろあるわけで、更にそれが細分化されていく。そこで本当にどこにその勝ち筋を見定めるのかというのは極めて難しいです。言葉では一言で言うんですけれども、これはどこの国にとっても極めて難しい。

 なぜなら、今、日本がある分野で先端を走っていたとしても、先ほども出てきましたけれども、ちょっと気を抜いたら、例えば、五年後には抜かされているかもしれないし、世の中で陳腐化しているかもしれない。その時間軸もしっかりと踏まえながら、他国の情勢も踏まえながら、これはしっかりと見極めていく必要があるということなんです。柔軟に考えていく必要がある。

 なかなか難しい作業ではあるんですけれども、量子、AIあるいはバイオ、これは、日本の統合イノベーション戦略にも位置づけられているし、中国の例えば製造二〇二五、あるいはアメリカにも技術戦略があるんですけれども、それぞれ見ても、どの国も、ここの分野についてはもうやらざるを得ないということで、莫大な投資をしてやっているので、日本としては勝負せざるを得ない。

 じゃ、そのどこに張っていくかというところについては、これから、例えば、シンクタンク機能を強化していったりします。令和五年度にシンクタンクを立ち上げる予定ですけれども、それも最初、小さなところから始まるかもしれませんが、そういう勝ち筋を見定めるという極めて難しい作業と我が国は向き合わざるを得ない。

 そういう思いを持ってやっていきたいと思いますし、別途、体系立って、これが、こことここで勝負というのが見えればいいですけれども、技術というのはそんな簡単なものでもないので、例えば、これから、もう既に始まっている経済安全保障重要技術育成プログラムとか次期SIPとか、そういう個別のプロジェクトを選定する過程においても、そうした勝ち筋がどこになり得るのかという意識を持って見定めていくということが重要だと考えています。

岬委員 ありがとうございます。

 ここで、日本の、今申し上げました技術力、競争力の現状も見ていきたいと思います。

 文科省の科学技術・学術政策研究所の科学技術指標二〇二一では、昨年の九位から十位に順位を落としております。また、国連の専門機関の世界知的所有権機関、これも毎年公表されておりますが、世界技術革新力のランキング、こちらも、日本は総合順位は十三位、韓国は五位、中国は十二位となっております。さらに、国際経営開発研究所、こちらが作成しました世界競争力年鑑、こちらは、かつて一位を続けておりました世界競争ランキング、二〇二一年を見ますと、何と日本は三十一位に転落をしております。ちなみに、中国は十六位、韓国は二十三位、遠く及びません。

 そこで、過去十五年にわたりまして衰退の一途をたどっております、科学技術立国として大変な危機を迎えていると思いますが、なぜ遅れてしまっているのか、その要因はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

米田政府参考人 お答えいたします。

 様々な要因が、考えてございますけれども、やはり、熾烈な国家間競争が激しくなる中で、我が国がどうしても科学技術分野についての投資が立ち遅れているというふうに考えてございまして、そういったことを踏まえまして、第六期科学技術・イノベーション基本計画では、大幅な投資額の増強といったことを打ち出しているところでございます。そのようなことを進めながら、科学技術立国の復権に努めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

岬委員 ありがとうございます。

 幾つかある中から、今日は量子技術についてお話をお聞きしていきたいと思います。

 政府は、令和二年一月に策定しました量子技術イノベーション戦略、この中でも明確に位置づけをしております。日本の強みを生かし、重点的な研究開発や産業化、事業化を促進、量子コンピューターのソフトウェア開発や量子暗号などで世界トップを目指すと言われております。

 ここで質問です。

 未来社会ビジョンに向けました二〇三〇年に目指すべき状況、利用者を一千万人にとあります。この利用者について、量子技術と知らずに利用している者も含むと書かれております。このことはまさに、量子技術と知らないで利用している人を含めているということでございますが、量子技術というのはそもそも何なんでしょうか。また、量子技術で自分たちの生活は何がどのように変化して、どんな利便性があるのだろうかと、国民の皆様には分かりづらいことも多くございます。

 そこで、量子技術の活用をして、国民生活がどのように変わっていくのか、どのような影響があるのか、またメリットがどんなふうにもたらされるのか、その辺りも簡単に御説明いただけますでしょうか。

米田政府参考人 お答えいたします。

 量子技術の活用を通じて我が国の社会全体の変革を実現していくための戦略として、また、それを分かりやすく国民の皆様に分かっていただくために、去る四月に量子未来社会ビジョンを統合イノベーション戦略推進会議で決定したところでございます。

 本ビジョンでは、創薬・医療、金融、エネルギー、物流等の様々な分野において量子技術を活用し、生産性革命などの産業の成長機会の創出、あるいはカーボンニュートラル等の社会課題の解決を図ることを目指しております。

 例えば、量子コンピューターの桁違いの計算力によって、例えば交通分野におきましては、時々刻々と変化する交通状況に合わせて全車両の最適運行を実現して渋滞を解消して、社会全体の燃料節約、そういったことに寄与していくことも考えてございますし、また、創薬分野においては、開発期間が大幅に短縮されることなども期待されているところでございます。

 こうした活用事例の積み重ねを通じまして、経済成長と人と環境の調和、心豊かな暮らしを同時に実現された社会像を目指すということを考えているところでございます。

 このための二〇三〇年の未来社会の具体的な目標といたしまして、先ほど言及いただいたような、国内の量子技術の利用者を一千万人、また、量子技術による生産額を五十兆円規模、また、未来市場を切り開く量子ユニコーンベンチャー企業を創出することなども設定しているところでございます。

 本ビジョンの実現に向けまして、関係府省、産業界とも緊密に連携しつつ、量子技術の研究開発や産業化等の取組を強化してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

岬委員 ありがとうございます。

 令和二年一月に策定をされました量子技術イノベーション戦略というところにも書かれておりますけれども、基礎理論や知識、また基盤技術等で強みや優位性、競争力を有しているものの、技術の実用化、産業化、システム化等に向けた取組は諸外国に後塵を拝する分野、領域でもある、極めて深刻な状況であると言わざるを得ないということでございます。今おっしゃっていただいたような具体的なビジョンをしっかりと実現していただければと思っております。

 また一方、民間の動きもございます。昨年九月には、東芝、トヨタ自動車、富士通、NTTなど五十社以上が参加する、量子技術による新産業創出協議会が設立されております。

 また、諸外国との協力体制も、五月二十三日、二十四日に、それぞれ、日米首脳会談や日米豪印の首脳会合共同声明がございました。

 さて、このような状況の中で、我が国の国益に直結する科学技術の分野、この量子技術の世界的な熾烈な競争が、後れを取っております。これはもう紛れもない事実でございますが、諸外国との協力体制や産官学の連携をいかに図ってこれからその競争力を強化し、また実現に向けていくのか教えてください。

米田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の量子技術につきましては、量子効果を利用した量子センサーや量子暗号通信技術などは基礎研究を含めて比較的高い水準を維持しているものの、技術をビジネスにつなげる産業化では低調な傾向にあると認識してございます。

 例えば、量子コンピューターにつきましては、我が国が基礎研究では先行していたものの、実用化では後塵を拝してしまいまして、カナダのスタートアップ企業や米国のIBMなどが既に計算サービスを提供しているところでございます。

 海外では、野心的な目標を掲げて量子コンピューターの研究開発や事業化等の取組を加速する動きが見られておりますので、我が国としても、研究開発の更なる加速とともに、産業競争力強化に向けた取組を推進する必要があると考えてございます。

 政府といたしましては、先ほど言及いただきました民間の動き、そういったこととも連携いたしながら、また、有志国との様々な協力を通じながら、量子未来社会ビジョンに基づく取組を強力に推進しまして、我が国の量子技術の国際競争力強化に向けた取組を推進してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

岬委員 ありがとうございます。

 さて、この量子技術を活用しまして、では、サイバーセキュリティーについて伺います。

 令和三年九月に、サイバーセキュリティ戦略がございます。盗聴ですとか改ざんが極めて困難な量子暗号等を活用した量子情報ネットワーク技術、また、量子暗号通信、超小型衛星によりまして、技術の確立に向けた研究開発が促進されてまいります。

 さて、こうした技術、いち早く標準化をしていく必要があると思います。安全性が極めて高い通信が実現できるということですから、サイバーセキュリティーにおいても、安全性という面で大きく貢献できるものと考えます。この点の見解を教えてください。

米田政府参考人 お答え申し上げます。

 量子技術を活用するサイバーセキュリティーについては、確実に通信内容の秘匿性を担保する量子暗号通信技術につきまして、その実用化に向けた研究開発、社会実装の取組が進められておりまして、我が国における高度な水準のサイバーセキュリティーの確保に貢献することが期待されているところでございます。

 海外では、地上通信網、衛星通信網等を活用して、長距離の量子暗号通信の実証環境を整備し、実証試験をする動きが加速するなど、国際競争が激化しておりまして、我が国の経済安全保障の観点からも、量子暗号通信の高度な技術を確保し、社会実装を加速化していくことが必要であると考えてございます。

 これらを踏まえまして、量子未来社会ビジョンでは、量子セキュリティー、ネットワークに関する取組といたしまして、量子暗号通信テストベッドや利用実証の拡大、充実、耐量子計算機暗号も含め、量子技術と従来型技術が一体となった総合的なセキュリティーの実現、量子暗号通信技術の導入を後押しするための評価、認証制度などの支援、量子状態を維持した通信を可能とする量子インターネット研究開発の国家プロジェクトの立ち上げを行うこととしてございます。

 量子技術を活用した高度なサイバーセキュリティー実現に向けまして、関係省庁と緊密に連携いたしながら、量子セキュリティー、ネットワークに関する研究開発や産業化に向けた取組を推進してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

岬委員 ありがとうございます。

 次に、サイバーインテリジェンスについて伺います。

 先日、私どもの日本維新の会の勉強会においても、サイバー空間での脅威や脆弱性に対する国際連携に日本は参加できていない、我が国が、いまだ国家サイバーインテリジェンスシステムの可及的速やかな構築が急務である、そして、アメリカと対等のシステムを構築することで、ファイブアイズの枠組みに入ることができ、国家安全保障に関わる情報の国家間での情報共有が可能であるというような勉強会がございました。

 維新八策二〇二二でも、テロ、サイバー攻撃、宇宙空間に対する防御の体制を総合的に強化していく必要性などを話し合っております。また、五月二十九日、NHK討論において、我が党の青柳代議士も、宇宙、サイバー、電磁波をいかに抑止力としてつくっていけるかが重要であると発言をいたしました。

 ここで、サイバーインテリジェンスを含めた国の安全保障に関する情報の収集、分析については、他国との連携協力が重要であり、また不可欠でございます。その中で、例えば、今お話ししたようなファイブアイズのような国際連携に参加する、若しくは参加できるような環境をこれから整備していくことが、検討していく必要性があると思います。この点の見解、いかがでしょうか。

 このファイブアイズは、アメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、またイギリスが含まれております。さらには、エモテットというコンピューターウイルスが猛威を振るってきた、これは記憶に新しいところでございます。その際も、今申し上げた五つの国以外にも国が参加しまして、八か国で対策を進めてまいりました。いずれも、日本はこの中に入っておりません。

 にもかかわらず、関係性は不明であっても、トヨタ自動車がウイルスの脅威にさらされまして、取引先の部品メーカーが操業を一旦停止しなくてはいけないというところに追い込まれております。これも、サイバー攻撃、日本経済に大きなダメージを与えてきたかと思いますが、この辺りを含めまして、いかがお考えでしょうか。

柳政府参考人 お答えいたします。

 我が国を取り巻く国際情勢が一層厳しさを増す中で、政府全体の情報収集、分析能力の向上を図ることが不可欠でありますが、その際、我が国自身の能力向上はもとより、できる範囲内において関係国との連携強化を深めていくことも極めて重要だと考えております。

 かかる認識の下、我が国は、米国、英国を始め関係国と平素から緊密に連携し、様々な情報交換を行っているところでありますが、事柄の性質上、それ以上のお答えは差し控えさせていただきます。

岬委員 なかなか明確に御答弁いただくのは難しい部分かとは思いますけれども、是非とも、危機感を持って引き続きお取組をお願いしたく存じます。

 それでは、まとめとなりますけれども、この開発競争というのは、数年で明らかになることではないです。十年、二十年と、中期又は長期のスパンで計画を進めていかなくてはいけないかと思います。その際には、継続的な研究資金、また、有能な人材をいかに育て、また獲得をしていくかが問われてまいります。

 さて、つい先日、六月五日にも、東京工業大学で量子コンピューティング研究拠点を設立しました。学内外での専門家、また、基礎理論を研究するほか、社会人向けの講座を開くなど、人材育成を目指すとございます。

 そこで、最後の質問でございます。

 量子技術の発展において、諸外国に大きな後れを取ってしまいました。将来の国の成長、発展や国民の安全、安心を、基盤を脅かされていると言っても過言ではございません。また、技術で勝って事業で負けるということが繰り返されてもいけません。長期戦となる開発競争や有能な人材及び予算の確保をどのように図っていくのか、是非、大臣から、最後、御見解をお聞かせください。

小林国務大臣 量子技術の国際競争力を強化していく観点からは、その研究開発の担い手である人材の育成、確保と、必要な予算の獲得、両方重要だと思っています。

 人材の確保につきましては、新たに策定した量子未来社会ビジョンを踏まえまして、例えば、民間事業者を活用した幅広い層へのリカレント教育の提供、あるいは、創薬・医療、あるいは材料、金融、様々ありますけれども、幅広い分野と融合した人材の育成、また、将来のブレークスルー技術を担う裾野の広い若手研究人材の育成、あるいは量子ネイティブの育成、また、社会実装という意味でのアイデアを提供する人間も必要になってくると思います。

 こうした取組を進めるとともに、予算については、令和三年度、令和四年度と、政府全体の予算、これは補正予算も含めればかなり増えてきているところでございまして、それに加えて、令和三年度の補正におきましては、量子やAI、先端的な重要技術を育成することを目的とした経済安全保障重要技術育成プログラムというものがあって、それで既に二千五百億円を措置させていただいたところでございます。

 こうした有能な人材の育成、獲得、また必要な予算の確保をしっかりとやっていきたいと考えます。

岬委員 大臣、ありがとうございます。

 予算は世界から見ても劣ることはございませんので、是非それを有効に御活用いただければと思っております。ありがとうございます。

 それでは、お時間が参りましたので、人材育成など、続いて、私ども日本維新の会の金村議員にバトンタッチしたいと思います。

 本日はありがとうございました。

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