令和4年11月11日 内閣委員会

マネーロンダリング対策強化を!電子決済手段の規制などにも強化すべき!暗号資産やオンラインカジノにも厳正に。テロ資金供与を許すな。

岬委員 引き続きまして、日本維新の会、岬麻紀でございます。

 本日は、主に金融の分野について質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、本法律案では、昨年八月に公表されましたFATFの第四次対日審査報告書を踏まえまして、マネーロンダリング等への対策を強化することとしています。

 しかし、現実問題としましては、マネーロンダリング等規制の網は、法律上定義可能な取引や当該取引を仲介等する業者に対してのみかかることとなります。

 例えば、本法律案に新たに規制が導入されました電子決済手段に係る規制は、我が国の法制度上、限定的な取引行為に対する規制となります。マネーロンダリング等という大きな概念で考えますと、例えば、電子的なピア・ツー・ピア取引など、国境を越える電子的価値の移転全てを法の網にかけることは不可能に近いと考えられます。

 これまでの実績では、暗号資産を通じたマネーロンダリングの割合が小さく、リスクベースの視点で考えると、必ずしも高くないようには見えています。しかし、そもそもマネーロンダリングの全数把握自体が困難であることを考えますと、実績ベースにとらわれたリスクベースの観点には実際との乖離があると考え、危険であるのではないでしょうか。

 マネーロンダリングを行う側では、法の抜け穴をかいくぐり、ついてくることは前提となります。マネーロンダリングへの対策として、法的な整備を完璧にすることは永遠のテーマであると考えるわけです。

 そこで、一つ目の質問です。

 FATFの第四次審査の指摘を踏まえまして今回の法改正が行われるわけですが、法的な整備、万全な対策を打つことが実際できるのでしょうか。大変難しいことと考えますが、どのようにしていくのでしょうか。マネーロンダリング対策に対する基本的な認識、考え方、政府の姿勢を谷大臣に伺います。

    〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕

谷国務大臣 お答えをさせていただきます。

 マネロン対策は、国民生活の安全と平穏や経済活動の健全な発展の観点から、これを国際的な協調の下で推進していくことが重要であると認識しているところであります。

 FATFの第四次対日審査報告書においては、マネーロンダリング罪の法定刑の上限を、少なくとも日本で犯罪収益を最も頻繁に生み出す重大な前提犯罪と同水準に引き上げること、法律、会計等専門家の取引時の確認義務や疑わしい取引の届出義務の規定を整備することなど、様々な指摘を受けたところであります。御審議いただいているFATF勧告対応法案は、これら指摘のうち法改正が必要とされた事項を盛り込んでいるところでございます。

 そのほか、法改正を必要としない事項についても、マネロン対策等の関係省庁で構成されるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議を活用するなどして、関係省庁が一体となってこの取組を幅広く進めてまいりたいと思っております。

岬委員 ありがとうございます。

 とはいっても、FATFの審査対応の施策の進捗状況もここから見ていきたいと思いますけれども、マネーロンダリング等対策におきましては、法令レベルの規定する内容だけではなく、現場の行動規律等を定めるガイドラインなどによる、その下のレベルでの整理した考え方に従うことも重要であると考えるわけです。

 そこで、本法案の提出と並行して作業が進められていることも承知をしておりますが、項目について、進捗の状況をここから確認をしていきたいと思います。

 金融庁は、金融機関に対しまして、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドラインを掲げ、対応が求められる事項につきまして、二〇二四年三月までの期間を区切り、対応の完了、そして体制の整備を求めています。二〇二二年四月には、リスクの状況や課題等をまとめましたマネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題を公表し、広く金融機関への還元を行っています。

 そこで、二つ目の質問です。

 二〇二四年三月という期限における現在の進捗状況、さらに、これまでのモニタリングによって把握ができた課題、そして、今後のフォローアップについて教えてください。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁では、委員御指摘のとおり、二〇一八年にマネロンガイドラインを策定、公表し、その後、各金融機関においてマネロン対策等への意識も浸透してきたことを踏まえ、二〇二四年三月末までのマネロン対策等に係る体制整備を完了するよう要請してございます。

 また、FATF第四次対日相互審査の結果も踏まえ、この二〇二四年三月末までの体制整備完了に資するよう、預金取扱金融機関などの高リスク業態を中心に、マネロン等管理体制に焦点を当てた検査を集中的に実施しております。

 こうした検査の結果、一部の金融機関においては取組に遅れが見られるものの、全体の傾向としては、二〇二四年三月末を目標にリスク管理の体制の整備が順次進められており、全体的な水準は高度化していると評価しております。

 金融庁では、検査を通じて明らかになった課題について、検査の結果を踏まえ、金融機関のモニタリングを行い、金融機関の体制整備状況の進捗を確認しているほか、業界団体等を通じて、二〇二一事務年度はマネロン対策等に係る説明会等を百回以上開催し、地域金融機関のマネロン対策等の理解促進に努めております。

 金融庁としては、これらの施策を通じて、引き続き、我が国の金融機関のマネロン対策等の強化に努めてまいります。

岬委員 ありがとうございます。

 それでは、一問飛ばしまして、続きましては、銀行等におけるマネロン対策について伺っていきたいと思います。

 本法案のうち、貴金属等の現物資産ではなく、いわゆる電子的な資産である暗号資産ですとか、電子決済手段への対応の強化も行われていますが、どのような形であれ、電子的な価値の移転を行って、最終的には法定通貨への交換がマネロンの最終目的であると考えています。

 そこで、そのとりでとなるのが銀行です。銀行等における取引モニタリングのマネロン対策、また今後も変わりなく非常に重要なポイントとなります。実際には、警察庁の資料によりますと、令和三年度の疑わしい取引の届出受理件数は全体で約五十三万件のうち、銀行等の預金取扱金融機関からの届出は約四十一万件に上っています。つまり、四分の三を占めているということです。

 そこで、重要な役割を担っている銀行等におけるマネロン対策について質問いたします。

 マネロンでは、対策の不十分なところが抜け穴となり、狙われる高い可能性がございます。FATFの報告書では、メガバンク等の一定の銀行等についてはマネロンのリスクを適切に理解していると評価をしています。しかしながら、そのほかの銀行等、例えば、一部の地方銀行であるとか信用金庫、信用組合等が該当すると考えられます、それらについて理解はまだまだ限定的であると指摘がされているわけです。

 この点、メガバンクではない中小金融機関におけるマネロン対策の強化の必要性、対策について政府の認識を伺います。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、金融庁では、現在、地域金融機関等も含め、マネロン等管理体制に焦点を当てた検査を集中的に実施しておるところでございます。

 こうした検査の結果、一部の地方金融機関においては、リスクの特定、評価、継続的顧客管理や取引モニタリング等において取組に遅れが認められておることは事実でございます。ただ、二〇二四年三月末の期限に向け、先ほど申し上げましたけれども、全体的な体制の水準は高度化していると評価しておるところでございます。

 金融庁は、地方金融機関に対してでございますが、先ほど申し上げた検査の結果も踏まえまして、金融機関のモニタリングを行い、金融機関の体制整備状況の進捗を確認しておるほか、地域金融機関を対象としたマネロン対策等に係る説明会等を開催し、地域金融機関のマネロン対策等の理解促進に努めておるところでございます。

 金融庁としては、これらの施策を通じて、引き続き、中小規模の金融機関を含め、我が国の金融機関のマネロン対策等の強化に努めてまいる所存でございます。

岬委員 心配しているのは、メガバンク以外の規模の小さいところということで、丁寧な対策をしていただきたいということを申し上げております。

 さて、FATFは、マネロン等の対策、向上させるために優先して取り組むべき行動としまして、銀行等における取引のモニタリングを挙げています。マネロン等対策の中核的な業務である取引モニタリングの高度化、効率化、特に規模の小さい金融機関において喫緊の課題だということです。

 また、対策として、報道では、全国銀行協会、全銀協と言われておりますが、システム整備の予算ですとか人材確保等の面で制約のある地方銀行のマネロン対策の底上げを狙い、複数の銀行等のマネロン対策、共同して実施していく子会社を設立し、AIを使った取引モニタリングを行うとされています。

 こうした業界団体の動きを受けまして、第二百八回国会では、複数の銀行等の委託を受けて取引モニタリングを行う為替取引分析業を導入する資金決済法の改正がなされました。法律の施行は来年でありまして、業務運営の質を確保するために、当局が直接検査また監督を行うことも承知をしております。

 全銀協の取引における取引モニタリングでは、AIを活用するとされています。これは、法案審議においても想定されていたことであります。

 ただ、忘れてはならないのは、AIのアルゴリズムの作成をするのも、また、修正作業を行い、システムの評価を行うのも、結局は人間であるということを忘れてはいけないのです。海外では、金融機関のシステムアラートの九五%もが偽陽性であったと報告がありました。誤検知率を下げるためにも、また、その精度向上にはまだまだ課題が残されていると言えます。

 他方では、AIの性質上、マネロン等の検知率にとらわれ過ぎますと、本来検知すべき取引を見逃してしまうという傾向があるようです。一方、広く網をかけてしまうと、その他大勢の合法的な取引まで検知をしてしまう。これは相反するものですが、完全なアルゴリズムの構築には、相当のテスト期間、また検証期間を要するものと考えられます。過去の実績データからの予測では新たなスキームの取引の検知には至らないという様々な課題もあり、悩ましい問題が残されております。

 そこで質問です。

 AIを使うことは、法案の審議の時点でも政府も想定をしていたところでありますが、取引モニタリングの実効性の確認、また、結果の適正性、そして適切性、正確性、どのように担保をされるのでしょうか。大変不安が残ります。政府の認識、現状の作業、進捗状況を伺います。

    〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の全国銀行協会によるマネロン対策のための共同機関の設立についてでございますが、これは同協会のタスクフォースにおいて検討が進められて、先月、サービス内容等が公表されたものと承知しております。

 委員御指摘のとおり、このようなAIを使った仕組みについては様々な課題がございますところ、全国銀行協会においては、これまでかなりの期間をかけて検討してきたところでございますし、我々金融庁といたしましても、このタスクフォースにオブザーバーとして参加してきており、こうした全国銀行協会の取組を支援してまいったところでございます。

 この共同機関においては、取引モニタリング等にAIを活用したサービスを提供することで、参加行の業務効率化や実効性向上を目指すところでございますが、我々金融庁といたしましては、こういった共同化の取組につきましては、各金融機関がその知見やノウハウ等を集約する形で業界全体として取り組むことであり、対策の実効性や効率性の向上に資するものと考えております。

 このような共同化が実際に効率的、効果的なものとなりますよう、先ほど委員からも御指摘もございました為替取引分析業の枠組みも活用いたしまして、今後のFATF第五次審査を見据え、官民一体となって金融機関のマネロン等管理体制の高度化、かつ、このような共同化の取組の有効性の向上について、金融庁としても適切に対応し、取り組んでまいりたいと考えてございます。

岬委員 ありがとうございます。

 それでは次に、暗号資産のトラベルルールの導入についてもお聞きしたいと思います。

 本法案では、FATFによる指摘を踏まえまして、暗号資産交換業者による、その移転に係る通知義務であるトラベルルールを課すこととしています。移転に係る通知義務は、これまでも銀行などの金融機関には要請されているもので、我が国では、犯罪収益移転防止法において外国為替取引に係る通知義務を課しております。

 一方、暗号資産の取引は、二〇一九年六月にFATF基準の改定がありました。暗号資産交換業者に対して、暗号資産の移転に際し、その移転元、移転先に関する情報を取得し、移転先が利用する暗号資産交換業者に通知をすることを求める規制、これがトラベルルール、各国において導入、履行することが求められているところでございます。

 そこで確認をしていきますが、暗号資産交換業の自主規制団体である日本暗号資産取引業協会はトラベルルールの導入について検討を進めていたところ、金融庁は、二〇二一年三月、同協会に対しまして、暗号資産交換業の根拠法である資金決済法に明記されている暗号資産交換業の適正かつ確実な遂行を確保する視点から、トラベルルールの実施をするために必要な体制を整備するよう要請をしています。

 そこで質問です。

 日本暗号資産取引業協会では、本年四月以降、自主規制としてこのトラベルルールを導入しています。導入から半年ほど経過をしたところではございますが、この間の運用状況及び明らかになった課題、体制整備についてお聞かせください。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、日本暗号資産取引業協会におきましては、今回の法改正に先立ち、トラベルルールの一部取組を試行的に開始するため、本年四月より自主規制規則の一部を改正したところでございまして、この改正を踏まえ、暗号資産交換業者においては様々な対応に取り組んできたところでございます。

 今般の改正法案が施行された後は、例えば、対象となる暗号資産の限定がなくなるほか、外国暗号資産交換業者を利用する者への移転も対象となるなど、通知対象となる取引の範囲が拡大します。これまでの自主ルールベースの対応の経験も踏まえますと、外国暗号資産交換業者とのシステムの互換性の確保などが今後の課題かなというふうに認識してございます。

 我々金融庁といたしましては、このトラベルルールの適切な実施が暗号資産交換業者のマネロン対策等の強化に資するよう、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 本法案の導入されますトラベルルールについて、各事業者がしっかりと遵守しているのか、今後確認をしていく必要が当然あるわけですけれども、金融庁はどのように遵守の状況を把握していくのか、そこをお聞かせいただきたいと思います。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の法改正により暗号資産交換業者に課されるトラベルルールは、暗号資産の移転の透明性を高める上で重要なルールと考えてございます。

 金融庁といたしましては、国際的に協調して実効性のあるマネロン対策等を実施する観点から、今後の暗号資産交換業者に対する検査監督におきまして、トラベルルールについて、暗号資産の送付人である自らの顧客から必要な情報を取得するシステムを構築できているか、こうした取組に対応するシステム管理体制が十分か、あるいは、暗号資産の受取人となる顧客を管理する他の暗号資産交換業者のマネロンリスク管理体制の十分性を的確に評価しているかといった点を確認する等としてしっかり検証していく所存でございます。

岬委員 ありがとうございます。

 もちろんしっかりと検証していくということですけれども、それがどのように実行できるのか、実際にそれが可能なのかというところに課題や不安が残っているわけです。その辺りはどうなのかなという不安を残しつつ、次の質問に参ります。

 次に、金融機関のサイバーセキュリティー対策について聞いていきます。

 サイバーリスクは金融機関にとって重要な課題の一つと言えます。しかしながら、マネロン対策に関する課題です。日本の銀行は様々なところにありますが、FISC、金融情報システムセンターの基準、また各金融機関の努力によりまして、これまで、堅牢なサイバーセキュリティー管理体制は何とか確保しつつ、技術の進歩に対応するため、金融庁の調査、また日銀考査等のチェックが実施されているところだと認知をしております。

 金融庁の検査ですとか日銀の考査について、かねてから連携の強化が検討されていることも承知をしております。しかしながら、近年のサイバー攻撃は更なる巧妙化、加えて、最近は特にサイバー攻撃事案が増加していると感じています。国民生活にも影響を及ぼしています。

 金融庁においては、十月十四日に、ラザルスと呼称されますサイバー攻撃グループによる暗号資産関連事業者等を標的としたサイバー攻撃について注意喚起を行ったり、また、今年だけでも七回目となる、金融機関を対象としたサイバー攻撃に備えた演習を行っていることも承知をしております。

 そこで、金融機関における実効性のあるサイバーセキュリティーの構築に向けまして、どのような対応をしているのか、また、今後どのような対策をしていくのか、金融庁に伺います。

屋敷政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、昨今、サイバー攻撃は一層巧妙化し、国内外で社会インフラに重大な影響を及ぼす攻撃が発生しております。このため、サイバーセキュリティーは、決済システムなど重要な社会インフラを担う金融分野において重要な課題の一つであると認識しております。

 我が国の金融分野におきましては、これまで、決済システムに大きく影響が及ぶようなサイバーインシデントは発生しておりません。しかし、他方で、DDoS攻撃によるウェブサイトの閲覧停止やフィッシング攻撃による不正送金など、利用者に影響が及ぶサイバーインシデントは相応に発生しているところでございます。

 金融庁では、これまで、検査等を通じて金融機関のサイバーセキュリティーの強化を促すとともに、業界団体や金融情報システムセンター等と連携し、脅威情報の共有や安全対策基準の整備に取り組んでまいったところでございます。

 金融庁といたしましては、引き続き、金融分野のサイバーセキュリティーの強化に取り組んでまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 未然に防いでいくということが大変重要になってくると考えます。

 しかしながら、ここから、規模による格差についても着目をしていきたいと思います。

 金融機関のサイバーセキュリティー対策につきましては、資本的な余力ですとか規模の経済の観点から、金融機関の規模によりまして明らかに差が生じるものと考えられます。

 この点につきまして、日本銀行や、また考察していただき、日常的なモニタリングを通じて継続的な助言、指導を日銀でも行っていることは理解をしております。もちろん、金融庁でも、監督当局として、検査監督を通じてその水準のチェックを行っていらっしゃり、また、いずれも金融機関において最低ランクはクリアしているものと考えております。

 しかしながら、攻撃者からの視点となってみますと、可能な限り、対策が劣る金融機関、弱いところを狙ってマネロンを行っていくことが合理的であり、相対的に対策が劣る金融機関のリスクは高いと考えます。

 そこで、サイバーセキュリティー対策における、このような金融機関の規模による格差、この現状はどのように認識をして、対策はどのようにしていくのでしょうか。また、サイバーセキュリティー分野の人材確保、これも大変大きな課題だと思われます。今後、この重要な人材確保、人材育成をどのように行っていくのか、併せて教えてください。

屋敷政府参考人 お答えいたします。

 金融庁は、金融機関の規模、特性に応じて、検査等を通じてサイバーセキュリティー管理体制を検証しております。

 例えば、三メガバンクに対しましては、海外大手金融機関の先進事例を参考に、サイバーセキュリティーの高度化を促しております。また、地域金融機関に対しましては、内部規定の整備にとどまらず、それが有効に運用されているかなど、対策の実効性の向上を促しているところでございます。

 加えて、サイバーインシデントの未然防止にとどまらず、インシデント発生時においても、顧客への影響を最小化し、業務を早期に復旧させるため、毎年、委員御指摘のとおり、サイバーセキュリティー演習を実施し、金融業界のインシデント対応能力の向上に取り組んでいるところでございます。

 また、委員御指摘のとおり、金融機関のサイバーセキュリティーの強化には人材の育成が不可欠であると考えております。金融庁といたしましても、金融機関に対しまして、経営陣のリーダーシップの下、内部人材の計画的な育成、外部知見を活用するため、情報共有機関である金融ISACが主催する研修への参加を図るなど、人材育成の取組を促しているところでございます。

 サイバー攻撃の脅威の増大に加えまして、デジタル化が推進する中、金融機関のサイバーセキュリティー管理体制の強化はますます重要な課題となっていくものと考えております。

 金融庁といたしましては、今後も力を入れて、金融機関に対して、サイバーセキュリティー向上及びセキュリティー人材の育成を促してまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 やはり、メガバンクは恐らく余力もあるでしょうけれども、それ以外のところ。さらには、人材育成、計画的に進めるといっても、なかなか、専門分野でありますし、時間がかかる育成だと思います。是非とも、もっと具体的なところで育成を、今後教えていただければと思います。

 それでは、時間も残り少なくなってまいりましたので、続きましては、ブロックチェーン技術等を活用したデジタル資産について伺っていきたいと思います。新しいデジタル資産へのマネロン対策という視点です。

 ブロックチェーン技術を用いましたNFT、非代替性トークンや、DeFi、これは分散型金融、これらを利用しましたデジタル資産について、その法律上の位置づけは明示されておりません。法令上曖昧な資産であるものも存在をしています。

 現在、金融庁で、これらのデジタル資産に対する規制の在り方について、多くの研究会を開催されていたり、また検討しているところであると理解はしております。

 更に言えば、このようなデジタル資産は、技術の進歩とともに日進月歩であり、法律が現実には追いついていない、若しくは追いついてはいけないものなのではないかと危惧をしております。避けられない事実に直面をしております。

 これらのデジタル資産は、金銭的な価値を有することから、マネロン等に利用される懸念があるということは言うまでもありません。他方で、本法案の既存する規制で措置することは難しいのではないかというふうに感じられるわけですね。

 そこで、最後の質問です。これは大臣にお聞きしたいと思います。

 今回のFATFの勧告対応法案ですが、マネーロンダリング対策のために、暗号資産やステーブルコインに関する対策ももちろん盛り込まれております。今後のブロックチェーン技術等を活用した新しいデジタル資産については、どのように対応していくおつもりなのでしょうか。是非ここは、谷大臣の意気込みも含めてお聞きしていきたいと思います。

谷国務大臣 お答えいたします。

 マネロン対策を進めていく上で新しいデジタル資産に的確に対応していくことは、御指摘のように大変重要であると認識しております。新しいデジタル資産に対しては、国際協調の下、各国が足並みをそろえて対応していくことが何よりも求められていることかと思います。

 今回のFATFの勧告対応法案においては、暗号資産やステーブルコインといった新しいデジタル資産に適切に対応するための改正内容を盛り込んだところでありますけれども、今後も、FATFにおける議論等、それから、そういう情勢の動き、変化、そういったこともしっかり注視しながら、政府一丸となって取り組んでまいりたいと思います。

岬委員 ありがとうございます。

 今後も引き続きまして、利用者の保護をすることはもちろんでございますし、日本国を守っていくためにも大変重要な分野になると思います。また、簡単には、正しい、間違っている、また、こうすれば解決できるという答えも見つけることが大変難しい分野でございますので、是非とも、技術だけではなく、各外国とのやり取りも含めて、私たちの金融、そしてシステム、資産を守っていくためには重要な分野だと認識をして進んでいっていただきたいと思います。

 是非とも、利用者の保護とともに、成長戦略という観点からも、これからの時代、なくてはならない分野となっていきます。新しい時代の金融サービス、これを実現していくことを期待しまして、お時間となりますので、質問を終了させていただきます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございました。