令和4年12月8日 農林水産委員会

【鳥インフルエンザ】甚大な被害。拡大の原因究明は?養鶏場財政支援等、政府の対応について。経営者の皆さんは、「風評被害」に苦しんでいます。『人への感染はありません!』

岬委員 日本維新の会、岬麻紀でございます。

 本日、農林水産委員会の委員ではございませんので、初めての質問となります。このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、本日、委員会の最後に、令和五年度畜産物の価格等に関する決議が行われることを承知しております。その中にあります高病原性鳥インフルエンザの感染拡大防止について、まさに私の地元でもあります愛知県においても発生したことを踏まえまして、質問をさせていただきます。

 さて、言うまでもありませんが、高病原性鳥インフルエンザが一たび蔓延をしますと、鳥肉や鶏卵の安定的な生産と供給を脅かし、また、国際的にも日本からの鳥肉、鶏卵の輸入を禁止する措置が取られるなど、個々の農家の経営のみならず、また、養鶏産業全体に甚大な被害が、影響が出ると考えられます。

 したがって、まさに決議案にあるように、高病原性鳥インフルエンザ等の家畜伝染病の感染拡大防止は最重要課題であると考えます。先ほど大臣のお言葉にもございました。

 そこで、本日は資料を四枚お配りしております。

 まず、一枚目、御覧ください。

 先ほど御紹介をしました私の地元でもある愛知県、その中でも豊橋市におきまして鳥インフルエンザが発生したという中日新聞の記事でございます。

 記事によりますと、十二月五日、愛知県特定家畜伝染病緊急対策会議におきまして、大村秀章愛知県知事が、全庁を挙げてこの防疫措置に万全を期す、さらには、養鶏農家に寄り添った対応をすると危機感を示したとございます。

 また、本日十二月八日木曜日も、同じ豊橋市におきまして、愛知県で二例目となる鳥インフルエンザの感染が確認をされております。

 この鳥インフルエンザの発生でございますが、愛知県に限らず、北は北海道から南は鹿児島県まで、日本各地に発生をしております。それも毎日のように連日報道がされているわけです。この新聞記事にある愛知県豊橋市の事例は今季で二十五例目、本日も含めますと既に三十例を超えております。なぜ、全国各地に、このように鳥インフルエンザの感染は拡大しているのでしょうか。

 さらに、この高病原性鳥インフルエンザの病原体、ウイルスと承知をしておりますが、感染源、感染経路、感染力など、感染拡大の原因について、農水省の見解をまずはお聞かせください。

森政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、高病原性鳥インフルエンザにつきましては、今シーズン、欧米を始めとしまして世界各地で流行している状況でございます。

 我が国におきましても、野鳥において広く感染しており、専門家の方からは、環境中のウイルス濃度が非常に高くなっているといった指摘があるところでありまして、これが感染拡大の一因であるというふうに考えられるところでございます。

 また、感染経路につきましては、発生の都度、疫学調査チームを現地に派遣して調査しているところでありまして、今後、調査結果に基づいて、感染経路などについて、専門家による分析を進めたいというふうに考えているところでございます。

 また、御指摘の感染力などのウイルスの性状につきましても、今後の専門家による解析結果等を待って、更に検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 是非、的確に、そして迅速に対策を進めていただきたいと考えております。

 続いて、配付資料の二枚目、御覧ください。

 こちらは、令和四年十月の、最近の家畜衛生をめぐる情勢についてという農水省の資料でございます。

 率直に申し上げまして、この表の黄色い部分です、こちらを見ますと、二〇二〇年からなぜこんなに急激に増えているのか、疑問を持ったわけです。

 今後の感染拡大の見通し、今月も含めた、まずは短期の見通し、その後に、来年、再来年度を含めた中長期の見通しについて、農水省はどのような見解を示されているのでしょうか。どのような対策、また、どのような対応をしていくおつもりでしょうか、教えてください。

森政府参考人 お答えいたします。

 今シーズンにつきましては、この鳥インフルエンザにつきましては、昨年、一昨年を上回るペースで発生をしているという状況でございます。先ほども申し上げましたとおり、環境中のウイルス濃度が非常に高いということで、今後とも発生の可能性というものが高いのではないかというふうに考えているところでございます。

 また、他方、今後、さらに、中長期の発生の見通しにつきましてはなかなか予断を持ってお答えすることはできないところでございますが、本年九月に公表されました昨シーズンの疫学調査チームの報告書の方では、「世界各地で発生が継続している現状を踏まえると、今後は毎シーズン、本病の発生リスクが高まる可能性が考えられる」とされているところでございます。

 私どもといたしましては、今後、引き続き、関係都道府県と連携しながら、飼養衛生管理の徹底、発生予防、蔓延防止に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 ただ、ここで少し疑問に思うのは、黄色い部分の二〇一一年は二十三件発生したにもかかわらず、翌年にはゼロで収められております。それが二〇二〇年の三十三件からは、二〇二一年、二十九件、そして二〇二二年、これは途中でありながらも、もう既に十五件というふうに示されております。

 これは何らかの対応が必要でもありますし、具体的に改めての対策が必要である、喫緊の課題であると思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、養鶏場の経営者の支援について伺いたいと思います。

 国の財政支援を調べてみますと、家畜伝染病予防費負担金であるとか、また患畜処理手当等交付金というように、国の財政措置があることは承知をしております。

 そこで、生産者が経営難で廃業に至った事例、二〇二〇年に鳥インフルエンザの感染が拡大してからどれくらいあるのか、把握をしていらっしゃいますでしょうか。

 さらに、この廃業というものに関しますと、担い手の高齢化であるとか、また後継者の不足という、いわゆる承継問題が挙げられます。

 このように、一度廃業してしまうと、再開するというのは難しく、ほぼ不可能であるのではないかと考えられます。

 こうして考えていきますと、まずは廃業をさせない努力、廃業に至らせないことが重要であると考えますが、この点、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 高病原性鳥インフルエンザにつきまして、令和二年度及び令和三年度シーズンにおきましては、合計六十四の経営体で発生しているところでございますが、これまで約九割に当たります五十八の経営体が経営再開済み又は再開に向け取り組んでいるというふうに聞いているところでございます。

 そうしますと、残る六経営体、こちらが、廃業あるいは廃業予定、又は、経営は続けますが、家禽は飼養しない予定といったふうに聞いているところでございますが、この要因等につきましては、御指摘の高齢の問題でございますとか、あるいは経営方針の変更等といったものというふうに伺っているところでございます。

 農林水産省といたしましては、都道府県とも連携をいたしまして、安心して経営再開ができるよう、指導の方、あるいは支援の方を徹底してまいりたいというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 とはいいましても、どんどん少なくなっていく現実がございますので、しっかりと経営が継続、そして、承継して継続していけるように、是非ともよろしくお願い申し上げます。

 次の質問は、是非とも野村大臣にお答えをいただきたいと思います。

 愛知県の担当者にも直接、今回の件を伺いました。経営が難しくなった生産者への経営支援、また防疫に係る経費など、財政の面でのまずは支援が必要である、求められております。さらには、風評被害を心配するという生産者の声も多く届いております。

 最近は、この鳥インフルエンザ、蔓延をした結果、随分と知識も皆様方に波及されまして、人へは感染をしないということですとか、市場に出回る心配はないと言われてはおりますけれども、なかなか払拭することができません。

 そういったことを踏まえまして、大臣、お願いをいたします。

野村国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 この高病原性インフルエンザが発生した農場につきましては、先ほど局長の方からも御答弁させていただきましたが、鶏の評価額、いわゆる殺処分をした鶏が何か月齢なのか、一か月齢、二か月齢、それぞれによって違うものですから、その月齢によって試算したものを、評価額の全額が手当金として交付されていきます。

 農家によっては、向こうの方が俺のところよりも多く出たという、ちょっと苦情も来たこともあったんですが、それは、月齢によって評価をして、そして手当を、交付金を出しておりますので、それは不公平とか不平等とかという話ではなくて、ちゃんとした算式に基づいて計算をいたしております。

 そのほか、家畜疾病経営維持資金、これは、生産者、そしてまた国の方で資金をつくりまして、セーフティネット資金の低利融資の活用もできますし、加えまして、家畜防疫互助事業というのがあります。これが、先ほど言いました、生産者、国が一ずつ、そして加入率も八六%という。ですから、再開に向けては、こういったようなお金を活用して、そして再開をしていただくように支援をしているところでございます。

 また、先ほどおっしゃいました風評被害のことですけれども、私どもは、毎度毎度というぐらいに、これは国の食品安全委員会の方から、鳥インフルエンザが卵を食べてもお肉を食べても人には感染しませんというのを食品安全委員会の方からきちっと専門的に言っていただいておりますし、我々も常々このことを発信しておりまして、もう鳥インフルが出るたびに、このことは記者会見ではっきり申し上げているところでございますので、少しそういったところは払拭できているのではないか、こんなふうに思います。

岬委員 ありがとうございます。

 経営再開の支援ですとか、タイムリーに、タイミングよく、評価額の満額を是非とも基本としていただきたいと思います。

 それでは、続きまして、資料の三枚目、四枚目を御覧ください。

 鳥胸肉三十年ぶりの高値という見出し、二〇二二年十一月十六日の日経新聞です。鳥肉といいますと、比較的高たんぱくであり、低カロリー、健康志向に持ってこいでございます。さらに、比較的安いということで、消費が増えております。四枚目、これは物価の優等生という鶏卵、いわゆる卵、朝昼晩の食生活、お弁当にも大変活用されまして、家庭にはなくてはならない卵でございます。

 これらの新聞記事でございますが、今、コロナ禍から経済活動も徐々に再開をされまして、外食の需要の回復、さらに、年末となりまして、ケーキの材料にもなる、おでんや鍋物にも欠かすことができないという一方、十月以降は各地で鳥インフルエンザの発生が確認されています。今年度、十二月五日朝の時点で、殺処分、何と約三百九十九万羽、これは四百万羽ですよね。過去最多であった二〇年を上回るペースで増えております。

 鳥肉、鶏卵の価格、更に押し上がっていく可能性があるという指摘もございますが、鳥インフルエンザの感染拡大による鳥肉や鶏卵の価格の影響、農水省はどのようにお考えでしょうか。

野中副大臣 お答えいたします。

 今シーズンの高病原性鳥インフルエンザの発生した農場における飼養羽数の全国の割合でありますけれども、全国全体の肉用鶏で〇・五%、そして採卵鶏で二・七%となっております。

 先生の資料にもございました。そして、その中で、卸売価格が上昇していると、資料三でもございました。前年同期比で鳥肉一二〇%、そして鶏卵一三一%と、いずれも高い水準で推移をしておりますけれども、これは、理由として、先ほどもございました、これから鍋の需要とかケーキの需要とかも増えてまいります。そしてまた、コロナの影響でしばらく疲弊していた外食産業も回復傾向にある。そしてまた、飼料価格上昇に伴う一定の価格転嫁が進んでいるなどの理由がございます。

 そして、この鳥インフルエンザによる影響はあるのかということでありますが、関係者からの聞き取りによりますと、発生県からの輸出停止に伴う国内仕向け量の増加、流通在庫による調整により、一定程度は緩和され、現時点では流通段階で不足感は生じていないと聞いているところであります。最近の価格上昇は、必ずしも鳥インフルエンザ発生の結果であるということは考えておりません。

 しかしながら、今シーズンは非常に発生件数が高うございますので、引き続き、需給と価格の動向について注視してまいりたいというふうに存じます。

岬委員 ありがとうございます。

 是非とも、需要が増えて供給が足りないということにならないよう、安定した家庭の食、しっかりと守っていただきたいと思います。

 それでは、時間が少なくなりましたので、六番目の質問を割愛とさせていただきます。

 しかし、指針を国が作成をして、実際に計画を県が指導を行って、制度を実行していくわけですけれども、どれだけ対策を実行しても、完全に感染を防いでいくということは難しい、できないと思われます。

 最後に、大臣にお聞きしたいと思います。

 もちろん、基準を遵守して、リスクの軽減をしていく、これは皆が頑張ってやっていることだとは思いますけれども、もっともっと生産者の声をしっかりと聞いていただきまして、都道府県との連携も深めていただきたいと考えます。

 十二月七日に、野村大臣、メッセージを発していただけておりますけれども、最後にいま一度、お心構えを皆さんに発信をお願いいたします。

笹川委員長 答弁は簡潔にお願いします。

野村国務大臣 大変貴重な御指摘をいただきました。

 我々は、やはり各県の方で非常によく処理をしていただきまして、早い埋却処理等々をやっていただいておりますので、あちこち蔓延はしておりますけれども、そこからどんどん広がっていくというふうには余りなっていないんです。

 ただ、私どもは、今回、秋田だったか、昨日出たのは……(発言する者あり)山形。必ず、初めに出たところについては、知事さんと、確実に私どもは、山形はまだ一回も出たことがないものですから、野中副大臣の方が知事さんと話をしていただく。あるいは、私も何回か話をしましたけれども、手分けをしながら現地に行ってみるとか、そういうことをやりながら、県の皆さん方との連携はきちっと取っているつもりでおりますので、今後ともそういったことはやりたいというふうに思っております。

岬委員 ありがとうございます。

 今、野村大臣のお声も聞かせていただきました。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。終了いたします。